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写真の顔は「偽物」です。他人から見た自分のホントの顔を知る方法!

「ふと友人に撮られた写真を見て、『私ってこんなに顔が歪んでるの?』と絶望してしまった」
「鏡で見ている自分と、写真の中の自分が違いすぎて、どっちが本物なのか分からない」

今、この記事にたどり着いたあなたは、そんな深いショックを受けているかもしれません。写真写りの悪さを自分の容姿のせいだと思い込み、自信を失いかけてはいませんか?

でも、安心してください。プロのポートレート写真家として断言します。
あなたがショックを受けたその写真は、レンズの歪みによって作られた「偽物」です。

鏡に映るあなたも、写真に写るあなたも、実はどちらも「他人から見た本当のあなた」とは少し違います。
この記事では、なぜ写真写りが悪くなるのかという科学的な理由と、特別なアプリを使わずに「他人が見ている本当のあなたの顔」をスマホで正確に映し出す方法をお伝えします。

読み終える頃には、「なんだ、私の顔が悪かったわけじゃなかったんだ」と、肩の荷が下りているはずですよ。


[著者情報]

この記事を書いた人:篠原 ミナト
(ポートレート写真家 / 認定心理士)

プロカメラマンとして15年、延べ5,000人以上のプロフィール写真を撮影。「写真写りが悪い」と悩む多くのクライアントに対し、レンズの特性と心理学に基づいたアドバイスを行い、本来の魅力を引き出している。「あなたの顔が悪いのではなく、カメラが嘘をついているだけ」が信条。

[監修者情報]

監修:臨床心理士・視覚心理学専門家

本記事は、心理学的な知見(単純接触効果、凍結顔効果)および光学的な事実に基づき、専門家の監修を受けて作成されています。

なぜ「鏡」と「写真」で顔が全然違うの?プロが教える2つの犯人

「鏡で見るときはマシなのに、写真になると急にブサイクになる」
この現象には、あなたの思い込みではなく、明確な「2人の犯人」が存在します。それは、脳のクセとカメラの構造です。

犯人①:脳の「見慣れ」によるバイアス(単純接触効果)

1つ目の犯人は、心理学で「単純接触効果(ザイオンス効果)」と呼ばれる現象です。
人間は、見慣れているものに好意を抱くという性質があります。あなたは毎日、鏡に映った「左右反転した顔」を見て暮らしていますね。あなたの脳にとっては、その「反転した顔」こそが「正解の自分の顔」としてインプットされています。

一方、写真は左右反転していない「他人視点の顔(正像)」です。脳は、見慣れた鏡の顔と左右が逆になっている写真の顔を見て、「なんか違う」「違和感がある」と判定します。この脳の混乱が、「写真の自分=ブサイク」という評価に繋がってしまうのです。

単純接触効果(ザイオンス効果)とは、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。(中略)図形や漢字、衣服、味やにおいなど、いろいろなものに対して起こる。

出典: 単純接触効果 - 心理学用語集 - 日本心理学会

犯人②:スマホカメラの「レンズの歪み」(パースペクティブ)

2つ目の犯人にして、最大の元凶がこれです。
実は、一般的なスマートフォンのカメラは、実物よりも顔を大きく、太く写す性質を持っています。

スマホのカメラには、広い範囲を写せる「広角レンズ(焦点距離24mm〜28mm相当)」が採用されています。この広角レンズには、「近くにあるものを極端に大きく写す」という特性(パースペクティブ)があります。
自撮りや、テーブル越しに友人が撮ってくれる距離感では、カメラに近い「鼻」や「頬」が実物以上に大きく引き伸ばされ、結果として顔全体が膨張して写ってしまうのです。

専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: スマホで撮った顔が気に入らなくても、絶対に落ち込まないでください。それは「物理的に歪んだ画像」です。

なぜなら、プロの現場でも、人物を美しく撮るために広角レンズ(24mm)を使うことはまずありません。私たちは通常、歪みの少ない中望遠レンズ(85mm前後)を使います。つまり、スマホの標準カメラで撮っている時点で、あなたは「プロでも可愛く撮るのが難しい不利な条件」で戦っているのと同じなのです。

アプリは不要!「他人から見た本当の顔」を映す魔法の撮影術

「じゃあ、どうすれば歪んでいない『本当の私』を確認できるの?」
リバーサルミラーを買う必要も、反転アプリをダウンロードする必要もありません。必要なのは、あなたのスマホと「2メートルの距離」だけです。

私がスタジオでお客様に実践していただいている、「他人から見た本当の顔」を再現する撮影手順をご紹介します。

Step 1: スマホを固定して「2メートル」離れる

まず、スマホを机や棚に立てかけるか、友人に持ってもらいます。そして、そこから2メートル以上後ろに下がってください。
この「距離」が重要です。カメラから離れることで、先ほど説明した「広角レンズ特有の歪み(パースペクティブ)」を物理的に消すことができます。

Step 2: 「2倍〜3倍ズーム」にする

離れると顔が小さくなってしまうので、スマホの画面でズーム(2x または 3x)をタップしてください。
この操作により、カメラの焦点距離が「50mm〜85mm相当」という、人間の視野に最も近く、顔の歪みが少ない状態になります。

Step 3: 「動画」で撮影する

ここが最大のポイントです。写真(静止画)ではなく、「動画モード」で撮影してください。
少し首を傾げたり、微笑んだり、話したりしてみてください。10秒ほど撮れば十分です。

これで撮影された動画に映っているのが、レンズの歪みを取り除き、左右反転もしていない、「他人が見ている正真正銘のあなたの顔」です。
どうですか? さっきまでの自撮り写真よりも、ずっと自然で、鏡の自分に近い印象に見えませんか?

なぜ「動画」なの?静止画よりも実物が魅力的な理由

「写真より動画の方がマシに見えるけど、これも目の錯覚?」
いいえ、錯覚ではありません。実は、「動いている顔」の方が「止まっている顔」よりも魅力的に見えるということが、心理学の研究で証明されています。これを「凍結顔効果(Frozen Face Effect)」と呼びます。

カリフォルニア大学の研究によれば、人間は他人の顔を見るとき、静止画のような「一瞬の切り取り」ではなく、表情の変化や動きを含めた「動的な情報」として認識しています。
写真は、瞬きや筋肉の動きの途中を無理やり切り取るため、どうしても不自然さが残ります。しかし、動画(実物)では、表情が滑らかに動くため、脳が情報を平均化し、より美しく、魅力的に感じるのです。

つまり、他人が見ているのは、あなたの不自然な「静止画」ではなく、魅力的な「動く顔」です。
だからこそ、真実を確認するなら「動画」でなければならないのです。

ビデオの顔の方が、同じビデオから切り出した静止画の顔よりも好意的に評価された。(中略)この現象を「凍結顔効果(Frozen Face Effect)」と名付けた。

出典: The Frozen Face Effect: Why Static Photographs May Not Do You Justice - Frontiers in Psychology

それでも気になる「左右差」をメイクで補正するコツ

動画で「真実の顔」を確認して、もし「眉毛の高さが違う」「口角が下がっている」といった左右差が気になったとしても、落ち込む必要はありません。
人間の顔は本来、左右非対称です。完璧なシンメトリー(左右対称)な人など存在しません。

それでも少し整えたい場合は、以下のポイントを意識してみてください。

  • 眉の高さ: 鏡ではなく、撮った動画を見ながら、低い方の眉山を少し書き足す。
  • 目の大きさ: 小さい方の目のアイラインを、黒目の上だけ少し太くする。
  • 髪の分け目: 左右差が目立つ側を、髪でふんわりカバーする(分け目を変えるだけで印象は激変します)。

重要なのは、鏡(反転顔)に合わせてメイクをするのではなく、「他人視点の動画」を基準に微調整することです。これだけで、写真写りも対人印象もぐっと良くなりますよ。


まとめ:あなたの顔は歪んでいません。自信を持ってください

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「写真写りが悪い」と悩んでいたあなたに、これだけは伝わったでしょうか。

  • 写真のブサイクさは、あなたのせいではなく「レンズの歪み」のせい。
  • 鏡の顔が良く見えるのは、脳が「見慣れている」から。
  • 真実はその中間にあり、しかも「動いているあなた」はもっと魅力的。

あなたが恐れていた「写真の中の歪んだ顔」は、現実には存在しない偽物です。
もしまた不安になったら、スマホを置いて2メートル離れ、動画を撮ってみてください。そこに映る、自然に笑って動いているあなたこそが、世界が見ている「一番素敵な本物」ですよ。

さあ、今すぐスマホを持って、少し離れた場所から自分を撮ってみませんか?
きっと、「なんだ、私って意外と悪くないじゃん」と思えるはずです。

[参考文献リスト]

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