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亡くなった人の顔を見に行く際の服装|仕事帰りの服を3分で『弔意の装い』に変える応急処置ガイド

「今、会社で訃報を聞いたけれど、この格好のまま駆けつけても失礼にならないかしら……」

仕事中に突然届いた大切な方の訃報。1秒でも早く駆けつけたいという想いの一方で、今のオフィスカジュアルや明るい色の服でご自宅に伺うことに、強い不安を感じていらっしゃるかもしれません。一度帰宅して喪服に着替えるべきか、それともこのまま向かうべきか、パニックになってしまいますよね。

結論から申し上げます。通夜前の弔問(ちょうもん)は、着替えずに「平服(普段着)」で伺うのが正式なマナーです。

むしろ、完璧な喪服で駆けつけることは、かえってご遺族に対して失礼にあたる場合があることをご存知でしょうか。この記事では、葬儀コンシェルジュとして数多くの現場に立ち会ってきた私が、仕事帰りの服装をわずか3分で「弔意の装い」に変える具体的な応急処置と、ご遺族に誠意が伝わる振る舞いについてお伝えします。


[著者情報]
一条 礼子(いちじょう れいこ)
葬儀コンシェルジュ / 現代礼法シニアインストラクター。20年間で3,000件以上の弔問相談に携わり、現代のライフスタイルに即した「心に寄り添うマナー」を提唱。大手葬儀社での講師歴も長く、現場のリアルな遺族心理に精通している。


なぜ「喪服」はNG?通夜前の弔問に普段着が推奨される深い理由

訃報を受けてから通夜が行われるまでの間に、故人のもとへ駆けつけることを「弔問」と呼びます。この段階で喪服(礼装)を着用することは、実はマナー違反とされています。

なぜなら、あまりに完璧な喪服で現れることは「まるで不幸があることを予期して、あらかじめ準備していた」かのような印象をご遺族に与えてしまうからです。これを専門用語で「忌み(いみ)を嫌う」という考え方に通じます。

弔問において最も大切なのは、「取り急ぎ駆けつける」という姿勢そのものです。「着替える間も惜しんで、一刻も早くお悔やみを伝えに来ました」というあなたの真っ直ぐな気持ちが、何よりもご遺族の心を慰めます。現代において、仕事帰りのスーツやオフィスカジュアルで伺うことは、まさにその「取り急ぎ」の精神を体現する、誠実な選択なのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 迷っているなら、着替えに帰るよりも、1分でも早く故人様のもとへ向かってください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、ご遺族は訃報直後、納棺の準備や葬儀の打ち合わせで刻一刻と状況が変わる非常に多忙な時間を過ごされているからです。数時間後に完璧な喪服で現れるよりも、まだ落ち着いている早い段階で、普段のあなたの姿で顔を見せることの方が、結果としてご遺族の負担を減らし、深い誠意として伝わるケースを私は何度も見てきました。


【3分で完了】手持ちの服から「派手さ」を引く!弔問前の引き算マナー

「平服で良い」と言っても、何でも許されるわけではありません。今の服装をベースに、弔意を示すための「引き算マナー」を実践しましょう。ポイントは、視覚的な「光り物」と「色」を抑えることです。

1. アクセサリーは「結婚指輪以外すべて外す」

ネックレス、ピアス、ブレスレット、腕時計。これらはすべて外して鞄にしまいましょう。特にパールのネックレスは、通夜や葬儀では定番ですが、通夜前の弔問では「準備していた感」が出るため、あえて外すのが賢明です。

2. 派手な色は「隠す」か「抑える」

明るい色のトップスを着ている場合は、黒や紺、グレーのジャケットやカーディガンを羽織りましょう。もし手元になければ、コートを脱がずに玄関先で失礼する、あるいはストールで色味を抑えるだけでも印象は大きく変わります。

3. メイクと髪型を「整える」

ラメの入ったアイシャドウや鮮やかなリップは、ティッシュオフして控えめにします。髪が長い場合は、黒いゴムで低い位置にまとめ、清潔感を出すだけで「弔いの場」にふさわしい落ち着きが生まれます。


コンビニで揃う!「これだけは」準備したい弔問の必需品リスト

「どうしても今の格好では不安……」という方は、弔問へ向かう途中のコンビニに立ち寄ってください。わずか数百円の投資で、あなたの装いに「弔意の重み」を加えることができます。

特に女性の場合、ベージュのストッキングを黒に履き替えるだけで、見た目の印象は劇的に「弔問モード」へと変わります。

📊コンビニで揃う弔問準備アイテム

アイテム優先度理由・選び方のポイント
黒ストッキング特高30デニール以下の透け感があるものを選ぶ。ベージュより圧倒的に弔意が伝わる。
黒の靴下男性の場合。派手な柄物や白ソックスはNG。無地の黒を。
黒のネクタイ派手なネクタイを締めている場合のみ。基本はノーネクタイでも可。
簡易数珠あれば望ましいが、弔問段階では必須ではない。無理に買わなくても失礼にはならない。
香典袋不要注意! 通夜前の弔問では香典は持参しないのが一般的。後日の通夜・葬儀で渡す。

服装よりも大切な「対面」の作法と遺族へかける言葉

服装が整ったら、あとは自信を持って伺いましょう。ご遺族はあなたの服装の細部よりも、あなたの「訪問」そのものを待っています。

故人様との対面(顔を見る)の作法

ご遺族から「お顔を見てやってください」と勧められたら、「ありがとうございます。お別れさせていただきます」と静かに受けます。

  1. 枕元から少し下がって正座(または直立)し、一礼します。
  2. ご遺族が白布を外してくださるのを待ちます。
  3. 故人様のお顔を拝見し、深く一礼、または合掌します。
  4. 少し下がって、ご遺族に「安らかなお顔ですね」など、短く言葉を添えます。

遺族へかける言葉

言葉に詰まってしまっても大丈夫です。「この度は、思いがけないことで……」と、言葉を濁すのが最も深い弔意を表すとされています。無理に励まそうとせず、あなたの悲しみをそのまま共有してください。


まとめ:マナーの正解は「あなたの心」にあります

急な訃報に接し、服装のことで悩んでしまうのは、あなたがそれだけ故人様とご遺族を大切に想っている証拠です。

平服(略装)で伺うことは、決して手抜きではありません。むしろ、取り急ぎ弔問することで「一刻も早く駆けつけたかった」という誠意を示す、伝統的で温かいマナーなのです。

  1. 喪服ではなく、清潔感のある平服で。
  2. アクセサリーを外し、メイクを抑える「引き算」を。
  3. コンビニの黒ストッキングで弔意を補完。

準備は整いました。その優しい気持ちを持って、今すぐ故人様のもとへ向かってください。あなたの訪問が、ご遺族にとって何よりの励ましになるはずです。


参考文献リスト

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