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nとsの違いで「話が通じない」を卒業!広告代理店PMが教える『コミュニケーション翻訳術』

「会議で具体的な手順を丁寧に説明したのに、上司から『もっとワクワクするビジョンはないの?』と却下された」「逆に、プロジェクトの可能性を熱く語ったら、チームから『で、具体的に明日何すればいいんですか?』と冷めた目で見られた」……。

広告代理店のプロジェクトマネージャー(PM)として現場を走り回っているあなたは、そんな「同じ言語を話しているはずなのに、どうしても話が噛み合わない」というもどかしさを、日々感じていませんか?

実は、そのストレスの原因は性格の不一致ではありません。脳が情報を処理する「OS(基本ソフト)」が、S(感覚型)N(直観型)かで根本的に異なっているだけなのです。

この記事では、かつて同じ悩みに悶絶し、心理学と現場経験から「コミュニケーション翻訳術」を編み出した私が、SとNの決定的な違いと、明日から現場で使える具体的な言い換えテクニックを伝授します。この記事を読み終える頃には、あの「話が通じない相手」との時間が、攻略しがいのある知的なパズルに変わっているはずです。


[著者プロフィール]
佐藤 健次(サトウ ケンジ)
組織心理コンサルタント。元大手広告代理店シニアディレクター。15年間、PMとしてクリエイティブ(N型多め)とクライアント(S型多め)の板挟みになりながら、数々の大型キャンペーンを成功に導く。現在は心理学的類型論をベースに、企業のチームビルディングを支援している。


なぜ「同じ言語」なのに噛み合わないのか?S型とN型の決定的なOS差

かつての私は、会議のたびに胃を痛めていました。クリエイティブチームが語る「ワクワクする未来の体験」にクライアントが眉をひそめ、私が必死に作成した「詳細な実績データ」にチームが欠伸をする。当時は「相性が最悪だ」と諦めていましたが、実は違ったんです。

彼らは単に、異なるOSで世界を処理していただけでした。

MBTIなどの性格診断で語られるS(感覚:Sensing)**N(直観:Intuition)の違いは、単なる好みの問題ではありません。それは、情報の「入り口」の違いです。

  • S型(感覚)は、五感で確認できる「事実」や「過去の実績」をガソリンにして動くOSです。
  • N型(直観)は、事実の背後にある「意味」や「未来の可能性」をガソリンにして動くOSです。

よく「相手がわざと話を逸らしている」とか「こちらの意図を無視している」と感じることがあるかもしれませんが、それは誤解です。S型の人に抽象的なビジョンだけを話すのは、WindowsのパソコンにMac専用のソフトをインストールしようとするようなもの。動かないのは当然なのです。この「認知OSの違い」を理解することが、ストレスフリーなコミュニケーションへの第一歩となります。


【図解】情報の「解像度」と「時間軸」で見極める、SとNの正体

S型とN型の違いをより深く理解するために、「情報の解像度」「時間軸」という2つの視点で整理してみましょう。

S型(感覚)は、いわば「4Kカメラ」です。目の前の景色を極めて高い解像度で捉えます。そのため、「誰が、いつ、どこで、何を、いくらで」といった具体的なディテールを何よりも信頼します。時間軸は常に「現在」と「過去(実績)」に置かれており、地に足のついた議論を好みます。

一方で、N型(直観)は「印象派の絵画」です。細部よりも、全体が作り出すパターンや「要するにどういうことか」という概念を捉えます。解像度はあえて低く保ち、その分、まだ見ぬ「未来」や「可能性」へと時間軸を飛ばします。

このS型(感覚)と情報の解像度の密接な関係、そしてN型(直観)と未来志向の時間軸の関係を理解すると、なぜ会話がズレるのかが構造的に見えてきます。


H2-3: 現場で即効!相手のタイプに合わせた『コミュニケーション翻訳フレーズ集』

PMであるあなたにとって最も重要なのは、理論を知ることではなく、現場でどう振る舞うかですよね。相手のOSに合わせて言葉を変換する「翻訳術」の具体例を見ていきましょう。

📊シーン別・S型とN型への「翻訳」フレーズ集

シーンNG例(OS不一致)S型(感覚)への翻訳N型(直観)への翻訳
企画の提案「とにかく新しい、ワクワクする企画です!」過去の成功事例Aに基づき、費用対効果をB%改善する案です」「この企画の核心的な狙いは〇〇で、市場に新しい潮流を作ります」
進捗の報告「順調に進んでいます。いい感じです」「現在工程の70%が完了し、残りのタスクは3つ。予定通り20日に納品します」全体スケジュールに影響はなく、現在は最終的なクオリティアップに注力しています」
FBを出す「なんか、もっとシュッとした感じになりませんか?」「ロゴのサイズを5px小さくし、色味を#333に変更してください」「このデザインだとターゲットに〇〇という誤解を与えるので、洗練さを強調したいです」

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 相手に合わせることは「自分を曲げること」ではなく、プロとしての「インターフェースの最適化」だと考えましょう。

なぜなら、相手が最も受け取りやすい形で情報を渡すことが、結果としてあなたの提案を通し、プロジェクトを最短距離で成功させるからです。私はこれを「おもてなしのコミュニケーション」と呼んでいます。この視点を持つだけで、相手へのイライラは「どう翻訳してやろうか」というクリエイティブな意欲に変わります。


「どっちか分からない」を解決。3つの質問で見抜く相手のタイプ判定法

相手がS型かN型か、16Personalitiesの結果を聞かなくても見分ける方法があります。会話の中で、以下の3つのポイントを観察してみてください。

  1. 「例えば?」と聞くか、「要するに?」と聞くか
    具体的な事例を求める人はS型の可能性が高く、結論や本質的な意味を求める人はN型の可能性が高いです。
  2. 道案内を頼んだ時の説明の仕方
    「100m先のコンビニを右に曲がって……」と目印や距離を言う人はS型。「北に向かって、大きな通りに出たら……」と方向や全体図で語る人はN型です。
  3. 「過去の話」が多いか、「未来の話」が多いか
    「前回の時はこうだった」という実績ベースの会話が多いならS型。「もしこうなったら面白くない?」という仮定の話が多いならN型です。

これらを意識するだけで、相手のOSを高い精度で推測でき、先ほどの翻訳フレーズを使い分けることができるようになります。


まとめ & CTA

S(感覚)とN(直観)の違いは、どちらかが優れているという話ではありません。

  • S型がいるからこそ、プロジェクトは細部まで疎かにならず、確実に実行されます。
  • N型がいるからこそ、プロジェクトは既存の枠を超え、新しい価値を生み出せます。

広告代理店のPMという仕事は、この異なるOSを持つ人々を繋ぎ、一つのハーモニーを作る「最高難度の翻訳家」です。明日からの会議では、相手を「話が通じない人」と決めつける前に、まずは相手が「例えば?」と言うか「要するに?」と言うかを観察してみてください。

その一歩が、あなたのPMとしてのキャリアを、そして何よりあなた自身の心の平穏を、劇的に変えていくはずです。


[参考文献リスト]

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