「試用期間中に能力不足を感じたから辞めたい」
「試用期間中に合わないと思ったから辞めたい」
「でも辞めて大丈夫だろうか?」
「転職先は見つかるだろうか?」
と悩んでいる人は少なくないと思います。
どれだけ熱意をもって入社しても試用期間中に辞めたくなることはあります。とはいえ本当に転職していいのか不安になるのではないでしょうか。
そこでここでは、試用期間中に辞めるとどうなるのかなどについて解説していきます。本記事の主な内容は以下の通りです。
- 試用期間中に辞めることのメリット・デメリット
- 試用期間中に即退職することは可能か?注意点は?
- 試用期間中に円満退職するためのポイント
ではさっそくお伝えしていきます。
そもそも試用期間とは?
試用期間は雇われる側にとっては「自分と会社が合っているのか」「入社前のイメージと合っているか」などを確かめる期間です。
そして雇う側にとっては「本当に良い採用だったのか」を見極めるための期間と言えます。
わかりやすく表現するならば「お互いにとってのお試し期間」といったところです。
なお、試用期間に関するルールなどは企業によって微妙に異なりますから気を付けてください。
試用期間中に能力不足を感じて辞めても大丈夫か?早すぎるのでは?
結論から言いますと試用期間中に能力不足などを感じて辞めることには何の問題もありません。
むしろ「辞めたい」という意思が強いのであれば、試用期間中に辞めた方が勤め先にとっては助かります。また、雇われる側としても試用期間が終わってからの方が気持ち的に辞めにくくなるでしょう。
さらに試用期間を過ぎてから「能力不足でついていけない」となると、お互いにストレスが蓄積して、やんわりと転職・退職するように促されて、ストレスやプレッシャーを感じることになるかもしれません。そして最悪の場合、パワハラなどをされる恐れもあります。
試用期間中の能力不足で辞めることのメリットは4つ!
それでは試用期間中に辞めることの主なメリットを挙げていきます。
1:仕事の悩みがすぐに消える
試用期間中に辞めれば、仕事の悩みや我慢などがすぐに消えます。
一方、能力不足や「合わない感じ」があるままで試用期間が過ぎてしまうと、勤め先の人達の態度も変わり、メンタル的にさらに辛くなるかもしれません。
また、求められる仕事のパフォーマンスが高くなってしまう可能性もあります。
そのため辞めたい気持ちが強いのであれば、ズルズル会社に残り続けない方がいい場合も多々あります。
2:時間の無駄にならない
向いていない仕事をすぐに辞めれば、本当にやりたいことを探しやすくなりますし、転職先の選択肢も多くなりやすいです。
例えば「どんな仕事でも3年は続けるべき」などの言葉を真に受けて、やりたくないことを3年以上続けて、そのあと退職するとなると、3年間を丸ごと無駄にすることになる可能性もあります(3年で全く何も得られないということもないと思いますが)。
なので思い切ってすぐに辞めるという選択肢も頭に入れておくべきです。
3:「第二新卒」として転職活動ができる
(新卒の)試用期間中に辞めれば、「第二新卒」としての転職活動がしやすくなります。第二新卒を求めている企業も多いですから、適切に立ち回ればそれほど苦労せずに再就職できる場合もあります。
企業から見た第二新卒の主な魅力は以下の通りです。
- 前職の影響があまりない
- 職場になじみやすい
- すでにビジネスマナーなどをある程度習得している
そのため「新卒よりも第二新卒」というスタンスの企業も存在するくらいです。
ただ、何年も会社に居続けてから転職した場合は、第二新卒ではなくなってしまいますから、辞めたい気持ちが強いのであれば、早めに辞めることを検討しましょう。
※ちなみに「第二新卒」という言葉の明確な定義はありません。ただ、「新卒で入社してから3年以内の人」を指す場合が多いです。
4:新しい会社で早く働きやすくなり、やる気も出やすい
一度会社を辞めたことで、「本当に自分に向いている仕事は何か」に改めて向き合うでしょうから、最初(もしくはそれ以前)の転職活動に比べて、自分に合う職場に就職できている可能性が高いです。そのため仕事へのモチベーションが上がりやすいと言えます。
また、前職で最低限のビジネスマナーや「仕事の勘」のようなものを学んでいるため、新卒時などよりは、早く他の社員と同じように働けるようになる場合が多いです。
試用期間中に能力不足で辞めたい時のデメリット4つ
続いては試用期間中に能力不足を感じて辞めることの主なデメリットを挙げていきます。
試用期間中に退職すること自体はもちろん構わないのですが、そこからの転職活動などで不利になる可能性もあるので気を付けてください。
1:転職活動時にマイナスポイントとなる
採用担当者などは、試用期間中に辞めた人に対して「採用してもすぐに退職してしまうのではないだろうか」と考えます。
面接などで辞めた理由をきちんと伝えても、「人間的に問題がある人なのだろうか」などと思われてしまう可能性もあります。
2:辞めると伝えてから、実際に辞めるまでが辛い
試用期間中だからといって「辞めます」と伝えて瞬時に辞められるわけではなく、実際に退職できるまでにはタイムラグがあります。
その間に、指導してくれた先輩、打ち解けてきた同僚などと顔を合わせることを辛く感じるかもしれません。
裏切られたと考えて厳しい態度を取ってくる人もいます。
3:辞めグセがつく可能性も
試用期間中に辞めると、すぐに退職するクセがついてしまう可能性もあります。
きちんと考えた上で退職するのであれば問題はありませんが、ちょっとしたストレスやトラブルなどでも「もう辞めればいいかな」などと判断するようになる恐れもあります。
4:選択肢が狭まる可能性も
試用期間中に辞めることで、自分の可能性を潰すことになるかもしれません。
本当に合わないのであればすぐに辞めるのも選択肢の一つと言えますが、「しばらく頑張ったら才能が花開く」「続けてみたら要領を掴むことができて一気に成長する」ということもあり得ます。
また、すぐに辞めてしまえば、同業種(もしくは近い業種)の会社に再就職することが難しくなる場合があります。また、例えば「業種はあまり関係なく、人間関係で辞めた」というケースでも、同じ業種には就きたくなくなる恐れがあります。
試用期間中に能力不足を感じて辞める場合の注意点3つ!
続いて試用期間中に辞める場合の注意点を3つ紹介していきます。試用期間中とはいえ、通常の退職と同じくらいの「重さ」はあると考えるべきです。
1:退職を伝えても即辞めることはできない
たとえ試用期間中であっても、退職を伝えてすぐ辞めることはできません。労働契約を交わしてから試用期間に入るからです(ただし雇っている側に重大な問題がある場合などは即退職できるケースもあります)。
民法第627条にて「退職の意思を伝えてから最速2週間で退職できる」と定められています。
ただ実際には、雇用契約などで例えば「退職の意思を伝えてから、最速1か月で退職できる」などと定めている会社も多いです。ですから正式に試用期間に入る前に(契約をする前に)、最速どれくらいで辞められるのかチェックしておきましょう。
2:辞めるとしても給与は確実にもらいましょう
試用期間中であっても当然給与はもらえます。
試用期間中に大きなトラブルが起きた場合は、「給与をもらえなくてもいいから一刻も早く辞めたい」と感じるかもしれませんが、しっかり給与を請求しましょう。
会社側としても「給与を払いたいのに連絡がつかない」となると非常に困るはずです。
万が一給与をもらわずに退職したとしても、最初はスッキリした気持ちになるかもしれません。ですがお金の話ですし、徐々に深く後悔することになる可能性が高いです。
3:「解雇」は絶対に避けましょう
一般的な「退職」は自主退職であり、経歴に明確なキズができることはありません(面接などで不利になることはありますが)。ただ、雇用者側から「解雇」されると、転職時に大きなハンデを背負うことになりますから気を付けてください。
主な解雇される原因は以下の通りです。
- 無断欠勤が多い
- 遅刻や早退が多い
- 極端に協調性がない
普通にしていれば解雇されることはまずありませんが、例えば「使用期間中だから許されると思って、何も言わずに長期間休む」などのことをすると解雇扱いになる可能性が非常に高いです(恐らくその前に連絡が頻繁に来るはずです)。
試用期間中に能力不足で辞めたい場合における3つのポイント!
それでは試用期間中に辞めたくなった場合のポイントを3つ挙げていきます。「辞めてからのポイント」ではなく、「辞めたくなった場合のポイント」であるということを意識してください。
1:自分と相性のいい職種を探す
試用期間中に辞めたくなった場合は、辞めないうちから本当に自分に合っている仕事を探し始めることが大事です。転職先の下調べをして可能であれば現場に行って見学をしたり、転職先の社員に話を聞いたりしましょう。
通常の転職に関しても当てはまりますが、「退職する→ゼロから転職のリサーチをする」という順番では、なかなか転職できない可能性が高いです。また、空白期間が長くなってきて、焦って雑に転職先を決めてしまう人も少なくありません。
試用期間中から転職活動(もしくはその準備)をスタートしておくのがセオリーです。そして転職活動を続けつつ仕事をして、「やっぱりこの仕事がいい」と感じたのであれば、転職活動は一旦中止してもいいでしょう。
2:早めに転職活動に取り組む
転職活動を始めてから実際に転職できるまで、3か月程度かかる場合が多いです。そのため「1」とも重なりますが、早めに転職活動をスタートするに越したことはありません。
高効率で転職活動をするためにも、転職エージェントの利用も検討しましょう。転職エージェントに登録すれば、希望している条件に合う企業を紹介してくれるなど、さまざまなサポートを受けることができます。
試用期間中で働きながら転職活動をするのは大変ですから、こういったサービスを積極的に使うといいでしょう。
3:試用期間が終わるギリギリまで待つ必要はない
試用期間が終わるギリギリのタイミングまで待つ必要はありません。場合によっては、もっと早く退職することも検討しましょう。特に「確実に辞めるけれど、試用期間が終わる間際までお世話になろう」と考えるのはほぼ無駄です。
どうしても辞めにくい場合は、家庭の事情や病気を理由に退職を申し出てみましょう。ただ、嘘でも構わないものの、病気については診断書を求められる可能性もあるので注意が必要です。
また、どのような退職理由であっても雇用者側が強制的に引き止めることはできません(「辞めないで」と言うことはできますが、実際に引き止めることはできません)。ですから、トラブルが起きる確率を下げたいのであれば、正直な理由を伝えることをおすすめします。
試用期間中に能力不足で退職する場合の3ステップ
それでは試用期間中に退職する場合の3つの手順を紹介していきます。いずれのステップも省いてはいけませんし、丁寧にこなす必要があります。
1:直属の上司に退職の意思を伝える
最初は直属の上司に退職の意思を伝えましょう。会社のルールや雰囲気にもよりますが、まずは直属の上司に言わないと円満退職できなくなる可能性が高いです。
メール、LINE、手紙などでは誤解が起きやすいですから、直接顔を合わせて説明しましょう。
そして「退職理由」「退職希望日」「退職関連の手続き」などについてきちんと話せば、ほぼ間違いなく問題を起こさず退職できます。
緊張するかもしれませんが、上司としても「試用期間中だから辞めることもあるかもしれない」とは常に考えているはずです。正社員などになってから辞めるよりはよほど楽ですから、あまり気負わずに話してみましょう。
2:退職届を出す
続いて退職届を出します。これが「退職が認められた証」となります。
退職届には「退職日」「退職理由」などを書きますが、理由は基本的に「一身上の都合」で構いません。
退職届の書式や提出方法などは会社ごとに微妙に異なりますから、早めにチェックしておきましょう。
3:退職の手続きをする
もちろん退職関連の手続きもすべてきちんと行う必要があります。主に以下の手続きがあります。
- 保険証・備品などの返却
- 住民税の手続き
- 通勤定期券の払い戻しのチェック
他にもするべきことはいろいろありますから、丁寧に確認を取りながら進めていきましょう。
試用期間を乗り切るための4つの対処法
最後に試用期間を乗り切る方法を4つ挙げていきます。特に「この会社で働き続けたいけれど、今が辛い」という方はぜひ参考にしてください。
1:自分の努力を認める
自分の努力を認めることで、ちょっとしたミスは気にならなくなりますし、叱られても必要以上に落ち込まなくなるはずです。また、仕事に対するモチベーションがアップし、前向きに取り組めるようになります。
試用期間ですから、自分の仕事の技量は低いかもしれません。しかし、だからこそ自分だけは、「自分はきちんと努力している」と認めることが大事です。
2:自己評価を低くしない
試用期間中はミスが重なり、「自分はダメな人間なのかもしれない」などと自己評価を低くしてしまう人が少なくありません。
そのため自分の小さな成功や成長にも注目して、「今日はこれができた」「最初に比べるとこれが成長した」などと自己評価を上げていくことが大事です。
3:回数や時間が解決してくれる場合も
もちろん向上心はあった方がいいのですが、そこまで意気込まなくても回数や時間が解決してくれる部分もあります。例えば以下の通りです。
- 意地の悪い上司の小言に慣れてくる
- 苦手な社員が異動する
- 慣れて仕事のミスが減る
- 慣れてきてプレッシャーが少なくなり楽しくなる
根拠がなくても「未来の自分はなんとかなっている」と開き直って仕事を続けることも時には大事です。
4:睡眠、休息をきちんと確保する
睡眠や休息が足りていないとマイナス思考から抜けにくくなり、自信を失っていく可能性が高いです。また、寝不足によって仕事のパフォーマンスが落ちたり、ミスが増えたりする恐れもあります。
- アイマスクを装着して目を癒す
- リラックスできるアロマを使う
- 早めにベッドに入る
- 眠れなさそうでもベッドに入って目を閉じてみる
これらのことをして睡眠や休息をしっかり確保しましょう。
試用期間に能力不足で辞めたい!まとめ
試用期間中に退職してももちろん構いません。自分に合わないと思う仕事を無理に続けていく必要はありませんし、早めに見切りをつければ時間を無駄にせずに済みます。
ただ、試用期間中に辞めることで、「早く辞めかねない人」と判断されやすいなどのデメリットも発生しますので、むやみに退職することはおすすめしません。きちんと考えてから辞めましょう。