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絶縁抵抗測定でやってはいけないこと!電気工事士が現場で身を守るための「絶対NG」回避マニュアル

👤 この記事の著者
坂本 剛(さかもと つよし)
第一種電気工事士 / 現場安全指導員

【実績】 電気工事歴20年。数多くの現場で職長を務め、現在は若手への技術指導と安全教育に従事。「事故ゼロ」を信念に掲げる。
【スタンス】 「失敗は誰にでもあるが、電気の失敗は命取りになる」と厳しくも温かく指導する、現場の頼れる親方。

「明日は初めての一人現場。もし事故を起こしたら…」
そんなふうに胃が痛くなっているあなたへ。

その恐怖心は、電気工事士として最も大切な資質です。怖さを知っている人だけが、事故を防げます。
逆に、「メガなんて簡単だろ」と高を括っていると、痛い目を見ますよ。私も新人の頃、確認不足で制御盤を飛ばしかけたことがあります。あの時の冷や汗は一生忘れません。

結論から言います。絶縁抵抗測定(メガ測定)は、高電圧を扱うためリスクはありますが、「やってはいけないこと」さえ守れば安全な作業です。

この記事では、現場歴20年の私が、教科書には載っていない「現場のリアルな注意点」「絶対NGリスト」を伝授します。


【現場で確認】絶縁抵抗測定で「絶対にやってはいけない」3つのタブー

まずは、命と財産を守るために、これだけは絶対にやってはいけない3つのタブーを頭に叩き込んでください。

NG1:活線(電気が流れている状態)での測定

これは自殺行為です。活線状態でメガを当てると、測定器が壊れるだけでなく、短絡事故(ショート)や感電を引き起こします。
「ブレーカー切ったはず」という思い込みが一番危険です。必ず検電器で無電圧を確認してください。

NG2:機器をつないだまま測定

パソコンやインバータ機器などがコンセントにつながった状態で、高電圧(500Vなど)をかけると、内部の電子部品(半導体)が一瞬で壊れます。
お客様の大切なデータを飛ばしてしまったら、取り返しがつきません。

NG3:測定後の放電忘れ

測定が終わった直後の電路には、高い電圧が溜まっています(残留電荷)。
そのまま端子に触れると「ビリッ!」と感電します。必ず測定器の機能やアースを使って放電させてください。

PCや家電を一瞬で破壊!?機器破損を防ぐ「事前チェックリスト」

「機器を壊さないためには、コンセントを抜けばいいんでしょ?」
基本はそうですが、現場には「抜き忘れ」の罠がたくさんあります。以下のリストを使って、指差し確認してください。


📝 機器破損防止チェックリスト

  • [ ] パソコン・周辺機器: コンセントからプラグを抜いたか?(電源OFFだけではダメ)
  • [ ] テレビ・オーディオ: 待機電力で動いている基板も高電圧に弱いです。
  • [ ] 冷蔵庫・電子レンジ: アース付きコンセントの場合も忘れずに。
  • [ ] 給湯器・温水便座: 専用回路の場合が多いですが、電源プラグを抜くか、ブレーカーで確実に切り離してください。
  • [ ] インバータ照明・空調機: スイッチが切れていても、電子回路がつながっている場合があります。
  • [ ] 制御盤内の電子基板: 制御回路の端子は外したか?(迷ったらメーカーに確認!)

ポイント:
「これくらい大丈夫だろう」という判断が命取りになります。「迷ったら抜く」「わからなければメーカーに確認する」という慎重な姿勢が、プロの仕事です。

迷わない!ブレーカー操作から測定完了までの「完全フローチャート」

現場でパニックにならないよう、作業の流れを整理しました。この手順通りに進めれば、事故は起きません。

電圧レンジの選び方:

  • 125V: 機器を切り離せない場合や、低圧回路(制御回路など)。
  • 250V: 一般的な100V回路(新築時など)。
  • 500V: 200V回路や、機器を切り離した100V回路(定期点検など)。
    ※基本は500Vですが、機器破損が怖い場合は250Vや125Vから始めるのも一つの手です。

「数値がおかしい?」焦る前に確認すべきトラブルシューティング

もし測定値が異常を示しても、焦らないでください。まずは以下の原因を疑いましょう。

0MΩ(ゼロ)になる場合

  • ブレーカーの切り忘れ: 電気が来ていませんか?検電を!
  • 負荷の抜き忘れ: コンセントに何かつながっていませんか?
  • スイッチの入れ忘れ: 測定対象のスイッチがOFFになっていませんか?(電路がつながっていない)

数値がふらつく場合

  • 接触不良: クリップが錆びた端子を噛んでいませんか?ヤスリで磨いてみましょう。
  • 電池消耗: メガの電池が減っていませんか?
  • ノイズ: 近くでインバータ機器や無線機が動いていませんか?

無限大(∞)のまま動かない

  • 断線: 測定コードが切れていませんか?(リード線同士を当てて0MΩになるかチェック)
  • 接触不良: アースが正しく取れていませんか?

まとめ:確認こそがプロの仕事。安全第一で現場へ向かおう

電気工事士の仕事は、「早さ」よりも「確実さ」が求められます。
一つ一つの確認作業が、あなた自身の命と、お客様の大切な財産を守るのです。

この記事のチェックリストをスクショして、明日の現場で必ず確認してください。
基本に忠実に、焦らずやれば大丈夫です。ご安全に!

📚 参考文献・リンク集

-ビジネス, 電子機器・テクノロジー