甘味料の一種であるステビアは以前アメリカで使用が禁止されていましたが、今では使えるようになっています。
少しの量でも強い甘味を感じることができ、血糖値に直接影響を与えるわけではないため、血糖値が心配な方やダイエット中の方に向いています。
ここではステビアがアメリカなどで使用禁止となっていた理由、安全性などに関して解説していきます。
ステビアの基本情報
ステビアはキク科の植物であり、その抽出物が天然甘味料として活用されています。「ステビア」という響きから人工甘味料のような印象を受けるかもしれませんが、それは誤解ということになります。
ちなみにステビアといっても154種以上あるのですが、甘味料として使われているのは「ステビア・レバウディアナ・ベルトニー」だけです。
そして砂糖の200~300倍程度の甘さがありつつも、血糖値を上げにくい甘味料として知られています。エネルギー量(カロリー)もほとんどゼロです。
やや専門的な話ですがステビアは「配糖体」であり、糖と糖以外の化合物が結合しています。
また、家庭で使用する場合は、パウダータイプのステビアを選ぶことをおすすめします。やはり粉末は扱いやすいです。
ステビアの歴史
16世紀頃、パラグアイの先住民達が薬草や甘味料としてステビアを使い始めたとされています。
国際糖尿学会が1970年に「ステビアは糖尿病への効果が期待できる」とコメントし、日本にも導入されるようになりました。
ただ、危険性はないに関しては明らかになっていなかったため、アメリカやヨーロッパなどでは使用を禁じられていました。
現在ではアメリカでも安全性が認められている
ステビア甘味料は日本国内では1972年に早くも商品化されていました。ですがアメリカなどの諸外国でステビアの使用を認めている国はあまりありませんでした。
しかし徐々に研究が行われていき、2008年にJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)により危険性がないと認められ、アメリカにもステビアが導入されるようになりました。
もう少し詳しく説明しますが、2008年6月にJECFAが「ステビオール配糖体」の評価を行い、「ステビオールの1日の摂取許容量は体重1キロにつき4ミリグラムまで」と設定しました。
そして2010年4月にEFSA(欧州食品安全機関)が、2008年のJECFAの評価をチェックした報告書を公開。これによって「95%以上の純度のステビオール配糖体は安全で危険性はない(1日の摂取許容量を超えない)」としました。
やや専門的な解説となりましたが、いずれにしてもステビア甘味料の危険性はないと証明されているといえます。
発癌、不妊などのリスクもない!!
1996年に厚労省が発表した「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究」と、2001年に行われた「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会」などで、「ステビア甘味料は発癌性などの毒性を有していない」と発表されました。
また、ステビアの研究は30年以上継続していますが、「妊娠に関する悪影響がある」などの科学的な情報は発見されていません。
ステビアについて日本国内でも「発癌性を有する」「不妊を招きかねない」「腎臓への悪影響がある」などと噂されていた時期もありましたが、これらもすべて誤解であるということです。
ただ、毒性を有してはいないものの、甘さに慣れてしまって食欲の制御がしにくくなる恐れもあります。
そのため「ほぼゼロカロリーだからいつでも口にしていいもの」ではなく、あくまで「砂糖と置き換えるためのもの」と捉えることをおすすめします。
そして食生活については、栄養のバランスを整えることを意識してください(ステビアとは無関係に大事なことでもありますが)。
ステビアの使い道はいろいろ|メリットや評判は?
ステビアには甘味料以外の使い方・楽しみ方もあります。
例えば葉を活用してハーブ茶にすることもできますし、家庭で育てることも可能です。
ただし、キク科植物のアレルギーを持つ人は避けるのが無難です。
ステビアがおすすめの人は?
カロリーをカットしたい方には向いている甘味料なのですが、「ステビアは後味が悪い」という口コミも見かけます。
味の感じ方や好みには個人差がありますから、これについてはご自身でステビア甘味料を口にして確認するしかありません。
ちなみに甘味料にもさまざまな分類があり、ステビアは「非糖質系の天然甘味料」ということになります。なお他の非糖質系・天然甘味料としては、甘草、ラカンカなどがあります。
「天然由来の甘味料を選びたい」「ダイエット中だからカロリーを抑えたい」「ステビアの味が好み・許容できる」という人はステビア甘味料を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ステビアのハーブ茶について
ステビアの葉自体ももちろん甘いのですが、それでいてかすかな渋みもあるため味わい深く、ハーブ茶としても愛されています。
そして糖尿病予防、ストレス軽減、ヒスタミン解毒、アレルギー抑制などの効果も期待できます。特に花粉症で悩んでいる方は、ステビアのハーブ茶によって和らぐかもしれませんからおすすめです。
ステビアのハーブ茶はオンラインショップなどでも購入できますし、価格も高くはありませんから興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。
また、ステビアのシロップ作りも家庭でできますからチャレンジしてみるのもいいでしょう。
天然甘味料だからこそ「手作り」がしやすいのもステビアの楽しさの一つといえるでしょう。
まとめ|ステビアは危険性はなく安全性が高い
危険性についていろいろと噂されることもあるステビアですが、かつて使用を禁じていたアメリカでも現在では危険性はなく安全性が認められ、使用を許可されています。血糖値の制御やダイエットにも役立ちますから、むしろ健康に気を遣っている人にこそおすすめの甘味料です。
市販品としてもさまざまに活用されていますし、自宅で育てることもできます。
ただ、ステビアに慣れすぎると食欲のコントロールがしにくくなる恐れがありますから気を付けてください(とはいえこれもステビア特有のデメリットというわけではありません)。
参考文献
Codex:コーデックス(CODEX)とは何か? |公益社団法人日本食品衛生協会 (n-shokuei.jp)
GSFA:GSFA Online Food Additive Group Details for STEVIOL GLYCOSIDES
JECFA:公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 (ffcr.or.jp)