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ウグイスとメジロの違い!「梅にウグイス」の罠を解き、庭のメジロを愛でるための大人の野鳥図鑑

野鳥観察家・本庄ヒロシ

ネイチャーガイド / 野鳥観察会主催 10年 🐦

「間違いは恥ずかしいことじゃない、むしろ自然への興味の入り口だ」が信条。初心者向けの某野鳥図鑑のサイト監修も務め、身近な野鳥の魅力を伝える活動を続けています。

庭の梅の木に、鮮やかな緑色の可愛い小鳥がやってきた。
「あ、ウグイスだ!」と思わず声を上げたら、家族に「それ、メジロだよ」と冷静に指摘されてしまった……。

そんな経験はありませんか?
「ウグイス色って緑色だし、梅に来てるんだからウグイスでしょ?」と思いますよね。

でも、実は日本人の多くがこの2つを混同しているのです。
恥ずかしがることはありません。これは私たちが陥りやすい「美しい誤解」なのです。

この記事では、野鳥観察家の視点から、ウグイスとメジロを「一発で見分けるポイント」と、なぜこんなにも間違えやすいのかという「文化的な謎」を解き明かします。


【結論】目の周りが白いなら、それは「メジロ」です

まず、あなたの目の前にいる鳥の正体をはっきりさせましょう。
決定的な違いは、「目の周り」「体の色」です。


  • メジロ(目白)
    • 目: 名前の通り、目の周りに白いリング(アイリング)があります。
    • 色: 背中は鮮やかな黄緑色(抹茶色)です。
    • 場所: 木の枝で活発に動き回ります。
  • ウグイス(鶯)
    • 目: 目の周りは白くありません。目の上にうっすらと白い線(眉斑)があります。
    • 色: 全体的に地味な茶褐色(オリーブブラウン)です。
    • 場所: 警戒心が強く、藪(やぶ)の中に隠れています。

結論: あなたが庭の梅の木で見た、目の周りが白くて鮮やかな緑色の鳥。それは間違いなく「メジロ」です。


なぜ日本人は間違える?「梅にウグイス」と「ウグイス色」の罠

では、なぜ私たちはこんなにも自信満々に間違えてしまうのでしょうか?
そこには、日本文化特有の2つの「罠」が潜んでいます。

罠1:「梅にウグイス」という言葉の綾

「梅にウグイス」という言葉は、取り合わせが良いものの例えとして使われます。花札の絵柄でも有名ですね。
しかし、生態学的に見ると、実際に梅の蜜を吸いに来るのは「メジロ」です。
ウグイスは虫を食べるため、梅の花にはあまり興味を示しません。
昔の人は、梅の木に来る美しいメジロの姿と、どこからか聞こえるウグイスの美しい声をセットにして、理想の春の情景を描いたのかもしれません。

罠2:「ウグイス色」のイメージギャップ

「ウグイス色」と聞いて、どんな色を思い浮かべますか?
多くの人が、メジロのような「鮮やかな黄緑色」をイメージするのではないでしょうか。
しかし、日本の伝統色としての本来の「ウグイス色」は、くすんだ茶緑色(オリーブ色)です。
「ウグイスパン」や「ウグイス豆」の鮮やかな緑色は、実はメジロの色に近いのです。この色の名前のイメージが、混同をさらに深めています。


📊 「メジロの色」と「本来のウグイス色」の違い

色名色見本イメージ特徴該当する鳥
メジロの色🟩 (鮮やかな黄緑)明るい抹茶色、新緑の色メジロ
ウグイス色🟫 (くすんだ茶緑)オリーブ色、枯草色に近いウグイス

本物のウグイスはどこにいる?「声はすれども姿は見えず」の正体

「じゃあ、本物のウグイスはどこにいるの?」と思いますよね。
ウグイスは、まさに「忍者のような鳥」です。

  • 声のウグイス: 「ホーホケキョ」という美しいさえずりは、数キロ先まで響きます。
  • 姿のメジロ: 姿を見せて愛嬌を振りまくのはメジロの担当です。

ウグイスは非常に警戒心が強く、普段は笹藪(ささやぶ)などの茂みの中に隠れて、虫を探して移動しています。
「声はすぐそこで聞こえるのに、姿が全然見えない!」
そう思って藪の中を凝視したとき、たまにチラッと見える地味な茶色の鳥。それが本物のウグイスです。

一方、メジロは「アイドルのような鳥」です。
甘いものが大好きで、警戒心もそれほど強くありません。梅や桜の花が咲くと、群れでやってきて「チー、チー」と鳴きながら、アクロバティックな体勢で蜜を吸います。私たちが「春の小鳥」として目にするのは、ほとんどがこのメジロなのです。


庭に来る鳥をもっと楽しむための観察ポイント

違いがわかると、庭を見る目が変わります。
春の庭をもっと楽しむための、ちょっとした観察ポイントをご紹介します。

メジロを呼んでみよう

メジロは甘党です。庭木に半分に切ったミカンや、砂糖水を置いてみてください(バードフィーディング)。
驚くほど近くで、その愛らしい姿を観察できるかもしれません。
※カラスなどが来ないよう、籠に入れるなどの工夫をすると良いでしょう。

ウグイスの「練習」を聴こう

春先(2月〜3月頃)、ウグイスはまだ鳴くのが下手です。
「ホー……ケキョ?」「ケキョケキョ……」と、たどたどしく練習している声が聞こえることがあります。
「頑張れ!」と応援したくなるその声は、春の訪れを告げる隠れた楽しみです。


まとめ:名前を知れば、愛着が湧く。春の庭をもっと楽しもう

目の周りが白くて、鮮やかな緑色の鳥。それは「メジロ」
地味な茶色で、藪の中から美声を響かせる鳥。それが「ウグイス」

「間違えていた」と落ち込む必要はありません。
「梅にウグイス」という言葉の罠と、色のイメージの悪戯(いたずら)。
その背景を知ることで、あなたはもう立派な「野鳥の目利き」です。

次に庭で緑の鳥を見かけたら、そっと近づいて「目の周り」を確認してみてください。
きっと白いリングが、クリクリと可愛らしく輝いているはずです。
「あれはメジロよ。ウグイスはもっと恥ずかしがり屋なの」
そう家族に教えてあげられる春は、今までよりも少しだけ、彩り豊かになっているはずです。

[参考文献リスト]

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