深夜1時過ぎ。明日の仕事のことを考えると胃がキリキリして、でも寝なきゃいけないのに、スマホを手放せない……。
「早く寝なきゃ」と頭では分かっているのに、指先は無意識にSNSをスクロールし続けている。そして、そんな自分に「なんてダメな人間なんだろう」と自己嫌悪を感じていませんか?
今、この画面を見ている明日香さんのようなあなたは、きっと一人で戦っているんですね。
大丈夫、その気持ちはあなただけじゃありません。そして、それはあなたが弱いからでも、病気だからでもありません。
結論から言います。その「寝たくない」という気持ちは、あなたの心が壊れないように必死でバランスを取ろうとしている、正常な防衛反応です。
この記事では、メンタルケア心理士の視点から、なぜ私たちは「明日が来るのが怖い」と感じてしまうのか、その心理的メカニズムと、今夜すぐに心を軽くするための「自分への許し方」をお伝えします。読み終える頃には、少しだけ肩の荷が下りて、自分に優しくなれるはずです。
[著者情報]
ミナミ / メンタルケア心理士・公認心理師
カウンセリング歴10年。企業のメンタルヘルス研修講師として、延べ5,000人以上の働く女性の「眠れない夜」に寄り添ってきた。自身も会社員時代に深夜の孤独と戦った経験を持ち、医学的な正論だけでなく、心に寄り添う現実的なケアを提案している。
[監修・参照情報]
本記事は、厚生労働省「こころの耳」および日本睡眠学会の知見を参照し、メンタルヘルスの観点から執筆されています。
なぜ眠いのに寝たくないの?その正体は「リベンジ夜更かし」という心の防衛反応
あなたが今していることには、心理学的な名前がついています。それは「リベンジ夜更かし(報復性夜更かし)」です。
日中、仕事や人間関係で自分の感情を抑え込み、「〜しなければならない」という義務感で過ごしていませんか? 自分の時間を他人にコントロールされていると感じると、脳は無意識のうちに「失われた自由」を取り戻そうとします。
つまり、夜更かしは、日中に我慢した自分への「報復(リベンジ)」であり、自分の人生の主導権を握り返そうとする、心の必死の抵抗なのです。

だから、自分を責めないでください。あなたはサボっているのではなく、心が壊れないように、必死で自分を守っているのです。
「明日が来るのが怖い」予期不安を和らげる、今夜だけの特別な処方箋
「寝たら明日が来てしまう」。その恐怖の正体は「予期不安」です。まだ起きていない未来のことを悪い方向に想像し、今この瞬間の安心感を奪ってしまう心の癖です。
でも、少し考えてみてください。あなたが今夜どれだけ起きていても、明日は必ずやってきます。そして、明日の問題に対処できるのは「明日のあなた」だけです。「今のあなた」が背負う必要はないのです。
今夜だけは、こう呟いてみてください。
「明日のことは、明日の私に任せた。今の私は、今日一日を生き抜いたことだけを褒めよう」
これはセルフコンパッション(自分への慈しみ)という心理テクニックです。自分を厳しい上司のように監視するのではなく、親友のように労ることで、張り詰めた神経はふっと緩みます。
無理に寝なくていい。罪悪感を捨てて体を休める「妥協的休息法」
「早く寝なきゃ」と思えば思うほど、目は冴えてしまいますよね。そんな時は、「寝なくてもいい」と開き直ってしまいましょう。
医学的には、「目を閉じて横になっているだけ」でも、脳と体は睡眠の約80%程度の休息効果を得られると言われています。これを私は「妥協的休息」と呼んでいます。
📊「完璧な睡眠」と「妥協的休息」の比較
| 項目 | 完璧な睡眠(理想) | 妥協的休息(現実的) |
|---|---|---|
| 行動 | スマホを消して熟睡する | スマホを見てもいい、ただ横になる |
| 心理 | 「寝なきゃ」というプレッシャー | 「休むだけでいい」という安心感 |
| 効果 | 100%の回復 | 80%の回復(不安の軽減) |
| 難易度 | 高い(今のあなたには辛い) | 低い(今すぐできる) |
スマホを見ても構いません。ただし、画面の明るさを一番暗くして、ブルーライトカットモードにしてください。そして、好きな音楽や動画を流しっぱなしにして、ただ目を閉じてみてください。それだけで十分、あなたは自分をケアできています。
FAQ:これってうつ病?病院に行くべき?心のSOSチェックリスト
Q:この状態はうつ病の初期症状でしょうか?
A:可能性はゼロではありませんが、まずは「期間」と「生活への影響」を見てください。厚生労働省の基準では、以下の状態が2週間以上続き、日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談が推奨されます。
- 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
- 何を見ても楽しいと感じられない
- 朝、どうしても起き上がれない
- 「消えてしまいたい」と頻繁に思う
もし当てはまるなら、それはあなたが弱いからではなく、脳のエネルギーが枯渇しているサインです。風邪を引いたら内科に行くように、心療内科やメンタルクリニックを頼ることは、自分を守るための賢い選択です。
まとめ:今夜は自分を許してあげよう。あなたは十分、頑張っています
孤独な夜、ここまで読んでくれてありがとうございました。
あなたのその「寝たくない」という気持ちは、あなたが今日一日、理不尽なことや辛いことに耐え、懸命に戦った証です。
- リベンジ夜更かしは、自分を取り戻すための防衛反応。
- 明日の心配は「明日の自分」に任せて、荷物を下ろす。
- 眠れなくても、目を閉じて横になるだけで十分えらい。
今夜はもう、頑張らなくていいんです。
自分に「今日もお疲れ様、よくやったね」と心の中で声をかけて、そっと目を閉じてみましょう。
孤独な夜は必ず明けます。そして明日の朝、少しでもあなたの心が軽くなっていることを願っています。
おやすみなさい。
[参考文献リスト]
- こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト - 厚生労働省
- 睡眠とメンタルヘルスの関係 - 日本睡眠学会