この記事の著者:高橋 玲子 / 妊活メンタルコーチ
元・不妊治療クリニック看護師。10年間で数千人の基礎体温表を見てきた経験から、医学的根拠に基づいた「数字に振り回されない妊活」を提案。現在はカウンセリングを通じて、妊活女性のメンタルケアを行っている。
今朝の体温が昨日より0.05度下がっただけで、一日中検索魔になってしまう…。
「妊娠した時 基礎体温」の画像と自分のグラフを見比べて、「私のはガタガタだからダメかも」とため息をついていませんか?
期待と不安で押しつぶされそうなその気持ち、痛いほどわかります。
でも、元看護師として断言させてください。
ネットにある「理想的な妊娠グラフ」は、ほんの一例に過ぎません。
現場で見てきた事実は、「ガタガタでも、二段上がりがなくても、妊娠する人はする」ということです。
この記事では、教科書には載っていない「リアルな基礎体温の読み方」と、判定日までの不安な時間を心穏やかに過ごすためのヒントをお伝えします。
「妊娠した時のグラフ」は十人十色。ガタガタでも妊娠した実例
まず、「綺麗なグラフじゃなきゃ妊娠できない」という思い込みを捨てましょう。
人間の体は機械ではありません。外気温、睡眠時間、測る時間のズレ、前日の飲酒…ちょっとしたことで体温は簡単に変動します。
実際の妊娠グラフはもっと自由
私がクリニックで見てきた「妊娠された方の基礎体温表」の多くは、決して教科書通りの綺麗な2層ではありませんでした。
- ジグザグと激しく上下しながらも、全体として低温期より高い位置にある
- 高温期の途中でガクンと下がった日がある(計測ミスや冷え)
- 徐々に上がっていった
こんなグラフでも、妊娠されている方はたくさんいます。日々の小さな変動は「誤差」です。木を見ず森を見るように、全体的な流れを見てあげてください。

「二段上がり」と「インプランテーションディップ」の嘘と本当
ネット検索でよく目にするこの2つの言葉。これらがないと妊娠していないのでしょうか?
医学的には「必須ではない」
- 二段上がり: 着床後にホルモン分泌が増えて体温がさらに上がる現象。
- インプランテーションディップ: 着床時期(高温期7〜10日目頃)に一時的に体温が下がる現象。
これらは確かに妊娠した人に見られることがありますが、「妊娠した人全員に現れる兆候」ではありません。
医学的にも明確な定義があるわけではなく、後付けで「そういえば下がってたな」と気づく程度のものです。
「二段上がりがないからダメだ」と落ち込む必要は全くありません。「あったらラッキー」くらいに捉えておきましょう。
生理前と妊娠超初期、決定的な違いは「17日目」にある
では、生理が来るのか妊娠したのか、どうやって見分ければいいのでしょうか?
腹痛、胸の張り、眠気…これらの症状は、残念ながら生理前(PMS)と妊娠超初期でほとんど区別がつきません。
唯一の確実なサイン
医学的に言える唯一の決定的な違いは、「高温期の日数」だけです。
- 生理が来る場合: 高温期は通常14日(±2日)で終了し、体温が下がります。
- 妊娠した場合: 黄体ホルモンが出続けるため、高温期が続きます。
目安として、高温期が17日以上続けば妊娠の可能性が極めて高く、21日以上でほぼ確定と言えます。
それまでは、どんなに検索しても答えは出ません。「17日目まで待つ」ことが、最も確実な診断法なのです。
検索魔を卒業しよう。生理予定日に白黒つける「早期妊娠検査薬」
「17日目までなんて待てない!不安で眠れない!」
そんな時は、文明の利器に頼りましょう。
生理予定日当日から使える検査薬
通常の妊娠検査薬は「生理予定日の1週間後」からですが、「早期妊娠検査薬(チェックワンファストなど)」なら、生理予定日当日から使用可能です(薬剤師のいる薬局で購入できます)。
ネットの不確かな情報に振り回されてストレスを溜めるくらいなら、検査薬で科学的に白黒つけてしまった方が、精神衛生上ずっと良いです。
もし陰性でも、「今回はタイミングが合わなかっただけ」と早く切り替えて、次の準備ができます。
まとめ:体温計を置いて、温かい飲み物を飲もう
基礎体温は、あくまで「排卵があったかどうか」を確認するためのツールです。妊娠を判定するための道具ではありません。
明日の朝、体温がどうであれ、あなたの体は命を育もうと一生懸命頑張っています。
今はスマホを置いて、温かい飲み物でも飲んで、リラックスしてください。
その穏やかな時間が、赤ちゃんを迎える一番の準備になるはずです。