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柿の保存方法「ヘタ保湿」で3週間シャキシャキ!ためしてガッテン流の失敗しない手順

「箱でもらった柿、食べきれずに熟しすぎて困っていませんか?」

毎年この時期になると、実家や親戚から届く大量の柿。嬉しい反面、常温に置いておくとあっという間にブヨブヨになり、「またジャムにするしかない…」とため息をついている方も多いのではないでしょうか。

でも、諦めないでください。かつてテレビ番組「ためしてガッテン」でも話題になった「ヘタ保湿保存」を行えば、常温なら数日で柔らかくなる柿を、3週間後も「カリッ」と音がする固い状態のままキープできます。

今回は、元JA直売所スタッフである私が、農家さんも実践しているこの裏技の「失敗しない正確な手順」を伝授します。特に重要な「水分の加減」「ヘタを下にする鉄則」を守れば、もう柿を腐らせることはありませんよ。

[著者プロフィール]

佐藤 美智子 (Michiko Sato)

食品保存アドバイザー / 元JA直売所スタッフ

JA直売所で10年間、農家直伝の野菜・果物の保存法をお客様に伝え続けた経験を持つ。「捨てない台所術」をモットーに、現在はWebメディアで家庭での食品ロス削減テクニックを発信中。自身も毎年実家から届く大量の柿と格闘しており、その経験から編み出した「家庭で一番失敗しない方法」には定評がある。


なぜ常温だとすぐ熟す?柿が柔らかくなる「ヘタの呼吸」の秘密

具体的な手順に入る前に、一つだけ知っておいてほしいことがあります。それは、「なぜ柿は置いておくだけで勝手に柔らかくなるのか?」という理由です。

実は、柿は収穫された後も生きていて、「ヘタ」を通じて呼吸をしています。

人間が呼吸をするように、柿もヘタから酸素を取り込み、水分を放出しています。そして、ヘタが乾燥してくると、柿は「水がなくなった!早く種を残さなきゃ!」と焦り、「エチレンガス」という老化ホルモンを出し始めます。このエチレンガスこそが、実を急速に熟させ、ブヨブヨにしてしまう犯人なのです。

つまり、柿を長持ちさせるための最大のポイントは、「ヘタを湿らせて呼吸を抑え、エチレンガスの発生を止めること」。いわば、柿を冬眠状態にさせてあげることなのです。


【写真で解説】3週間シャキシャキ!失敗しない「ヘタ保湿保存」4ステップ

それでは、いよいよ実践編です。JAの直売所でも推奨していた、失敗しない「ヘタ保湿保存」の4ステップをご紹介します。

用意するものは、ティッシュペーパー、ラップ、ポリ袋の3つだけです。

ステップ1:ティッシュを濡らして「適度な水分」を含ませる

まず、ティッシュペーパーをヘタの大きさに合わせて折りたたみます(通常は4つ折り?8つ折り)。
ここに水を含ませるのですが、ここが最大のポイントです。水が滴り落ちるほどビチャビチャにするのはNGです。 軽く絞って、「湿っているけれど水は垂れてこない」状態にしてください。水分が多すぎると、カビの原因になります。

ステップ2:ヘタにピタリと貼り付ける

濡らしたティッシュを、柿のヘタの上にピタリと被せます。ヘタ全体が覆われるように置いてください。これが柿の「呼吸マスク」になります。

ステップ3:ラップで空気が入らないように包む

ティッシュを乗せたまま、柿を1個ずつラップで包みます。
この時、できるだけ空気が入らないように、ラップを密着させてください。 隙間があるとティッシュがすぐに乾いてしまい、効果が半減してしまいます。

ステップ4:ポリ袋に入れて「ヘタを下」にして野菜室へ

ラップで包んだ柿を、ジップロックなどのポリ袋にまとめて入れます。
そして冷蔵庫(野菜室)に入れるのですが、ここで絶対に守ってほしい鉄則があります。それは、「必ずヘタを下(逆さま)にして置くこと」です。

💡 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 冷蔵庫に入れるときは、絶対に「ヘタを下」に向けて置いてください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、柿のお尻(先端部分)は果肉の中で最も柔らかくデリケートな場所だからです。もしヘタを上にして置くと、柿自身の重みでお尻が押し潰され、そこから傷み(軟化)が始まってしまいます。「ヘタ保湿」と「ヘタ下置き」はセットで行う。 これがプロの常識です。


2週間以上持たせるなら必須!「ティッシュ交換」とメンテナンス

「これで3週間放置してOK!」と思いたいところですが、より確実に長持ちさせたいなら、途中で一度メンテナンスを行いましょう。

冷蔵庫の中は意外と乾燥しています。ラップをしていても、2週間ほど経つとティッシュの水分が飛んでカラカラになっていることがあります。ティッシュが乾くと、柿は再び呼吸を始め、エチレンガスを出して熟成を再開してしまいます。

2週間に1回程度、ラップを開けてティッシュの状態を確認してください。 もし乾いていたら、もう一度水を含ませるか、新しい濡れティッシュに交換しましょう。このひと手間を加えるだけで、保存期間はぐっと伸び、1ヶ月近くシャキシャキ感を維持できることもあります。

また、その際に柿を軽く触ってみて、もし少し柔らかくなり始めているものがあれば、それは「食べごろサイン」です。無理に保存を続けず、優先的に食べてしまいましょう。


すでに柔らかい柿はどうする?「冷凍保存」という救済策

「気づいたら、もう指で押すと凹むくらい柔らかくなっていた…」
「ヘタ保湿をする前に熟してしまった…」

そんな柿に「ヘタ保湿」を行っても、残念ながら固い状態に戻ることはありません。でも、捨てないでください! 熟してしまった柿には、「丸ごと冷凍保存」という最高の救済策があります。

熟した柿は、皮ごとラップで包んで冷凍庫に入れるだけで、絶品の「天然シャーベット」に変身します。



👇 比較表: 「固い柿(ヘタ保湿)」と「熟した柿(冷凍)」の使い分け

保存方法対象の柿保存場所保存期間の目安食感・用途
ヘタ保湿保存固い柿冷蔵庫(野菜室)3週間?1ヶ月シャキシャキ!
サラダやそのまま食べるのに最適
丸ごと冷凍熟した柿冷凍庫1?2ヶ月トロトロのシャーベット!
半解凍してスプーンで食べる

冷凍した柿は、食べる直前に少しだけ常温に戻し(半解凍)、ヘタの部分をカットしてスプーンですくって食べると、濃厚なアイスクリームのような味わいが楽しめますよ。


よくある質問 (FAQ)

最後に、直売所でお客様からよく聞かれた質問にお答えします。

Q. 野菜室がいっぱいで入りません。冷蔵室でもいいですか?

A. 大丈夫ですが、乾燥対策を強化しましょう。
冷蔵室(通常の棚)は野菜室よりも温度が低く、乾燥しやすい環境です。ヘタ保湿をした上で、さらに新聞紙で包んでからポリ袋に入れるなどして、冷気と乾燥から柿を守ってあげてください。

Q. 渋柿でも同じ方法で保存できますか?

A. 「渋抜き後」の柿なら同じ方法でOKです。
渋抜きをする前の渋柿は、まず渋抜き処理(焼酎やドライアイスなど)が必要です。渋が抜けて食べられる状態になった柿であれば、甘柿と同じようにヘタ保湿で長持ちさせることができます。


まとめ

大量の柿を腐らせずに最後まで美味しく食べるための鍵は、「ヘタの呼吸を止めること」でした。

  1. 濡れティッシュをヘタに当てる(水は滴らない程度に!)。
  2. ラップで密閉する。
  3. ヘタを下にして野菜室へ入れる。

この3ステップさえ守れば、3週間後も夫に「まだ固くて美味いな」と言わせることができます。

さあ、今すぐキッチンにあるティッシュを濡らして、箱の中で待っている柿たちを救ってあげてください。このひと手間で、今年の秋は食品ロスゼロを目指しましょう!

[参考文献リスト]

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