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なぜヒアレインSはドライアイに使えない?「効能に書いてない」本当の理由と成分の真実

👤 著者プロフィール
薬師寺 誠(医薬品登録販売者 / 医療ライター)
ドラッグストアでの勤務経験を経て、現在はOTC医薬品(市販薬)の適正使用を広めるライターとして活動中。「法律の壁」と「現場のリアル」の両方を知る立場から、難解な薬のルールを噛み砕いて解説することを得意とする。忙しい現代人が、病院に行けない時でも安全にセルフケアできるようサポートすることが信条。

ドラッグストアの目薬売り場で、こんな経験はありませんか?

「あ、眼科でもらっていたヒアレインがある!」と手に取ったものの、パッケージの裏を見て手が止まる。「効能・効果:目の疲れ、目のかすみ、目の乾き…」

「あれ? 『ドライアイ』って書いてない…?」

スマホで検索すると「ヒアレインS ドライアイ 使えない」なんて不穏な言葉も出てくる。
「もしかして、処方薬とは別物なの? 私のこの辛いドライアイには効かないの?」と不安になり、結局棚に戻してしまった——。

その判断、少し待ってください。

結論から申し上げます。ヒアレインSの中身は、あなたが眼科で処方されていた「あのピンクの目薬」と全く同じです。

では、なぜ成分が同じなのに「ドライアイ」と名乗れないのか?
そこには、品質の問題ではなく、薬機法という法律上の「大人の事情」が存在します。この記事では、そのカラクリを解き明かし、あなたが自信を持って「正解の目薬」を選べるようサポートします。


なぜ「ドライアイ」と書かれていないのか?

まず、あなたが抱いた「成分は同じはずなのに、なぜ表記が違うのか?」という疑問にお答えします。

これは、「ドライアイ」と「目の乾き」という言葉の定義の相違に原因があります。

「病名」か「症状名」かの違い

医療現場において「ドライアイ」とは、涙の量を測る検査などを行い、医師が診断を下す「疾患名(病気)」です。
一方、「目の乾き」とは、患者さん自身が自覚できる「症状名」です。

ここからが重要なのですが、市販薬(スイッチOTC医薬品)は、医師の診察なしに購入できる薬です。そのため、法律(薬機法)のルール上、医師の診断が必要な「疾患名」を効能・効果に記載することは、原則として認められていません。

つまり、ヒアレインSのパッケージに「ドライアイ」と書かれていないのは、効果がないからではなく、「市販薬という区分上、病名を書くことが許されていないから」なのです。


【証拠あり】医療用と市販用、中身は本当に同じ?

「ルールは分かったけど、本当に中身は一緒なの? 薄められていたりしない?」
そんな疑念を晴らすために、公的機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している添付文書データを比較してみましょう。

成分・添加物の完全一致

以下の表をご覧ください。医療用の「ヒアレイン点眼液0.1%」と、市販の「ヒアレインS」のデータを並べたものです。

📊医療用ヒアレイン0.1% vs ヒアレインS 成分比較

項目医療用 ヒアレイン点眼液0.1%市販薬 ヒアレインS判定
有効成分精製ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%完全一致
添加物ε-アミノカプロン酸
エデト酸ナトリウム水和物
ベンザルコニウム塩化物 等
ε-アミノカプロン酸
エデト酸ナトリウム水和物
ベンザルコニウム塩化物 等
完全一致
効能・効果シェーグレン症候群、ドライアイ等の内因性疾患…目の疲労、目の乾き、目のかすみ…表記のみ相違

出典: PMDA 医療用医薬品 添付文書情報 および ヒアレインS 添付文書 より作成

ご覧の通り、ヒアレインSと医療用ヒアレイン点眼液0.1%は、有効成分の濃度だけでなく、添加物の種類に至るまで同一です。

製造販売元の参天製薬も、公式Q&Aで以下のように明言しています。

医療用「ヒアレイン点眼液0.1%」と成分・分量、添加物、液性は同じです。

出典: ヒアレインS 製品Q&A - 参天製薬

つまり、あなたがドラッグストアで見つけたその目薬は、まぎれもなく「あの処方薬」そのものなのです。


「使えない」と言われるもう一つの理由:コンタクト問題

ネット上で「ヒアレインSは使えない」という噂が流れる背景には、もう一つ重要な理由があります。それはソフトコンタクトレンズとの相性(禁忌)です。

防腐剤によるリスク

ヒアレインSには、品質を保つために「ベンザルコニウム塩化物」という防腐剤が含まれています。この成分は、ソフトコンタクトレンズに吸着しやすい性質があり、レンズを変形させたり、角膜(目の表面)に傷をつけたりするリスクがあります。

そのため、ヒアレインSはソフトコンタクトレンズを装用したままでは使用できません(使えません)。

ここで誤解してはいけないのが、「これは医療用ヒアレインも全く同じ」だということです。医療用であっても、防腐剤入りのボトルタイプは、コンタクトをしたままの点眼は原則NGとされています。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: コンタクトをしたまま点眼したい場合は、ヒアレインSではなく「ソフトサンティア」などの防腐剤フリーの目薬を選んでください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、「ヒアレインなら目に優しいから大丈夫」と思い込んでコンタクトの上から点眼し、トラブルになるケースがあるからです。ヒアレインSを使うなら、必ずレンズを外してから点眼し、5〜10分ほど時間を空けてから再装着しましょう。


Q&A:眼科に行くべきタイミングは?

最後に、セルフメディケーション(市販薬での対処)の限界についてもお伝えしておきます。

Q. ヒアレインSを使い続けても症状が良くならない場合は?
A. 2週間程度使用しても改善が見られない場合は、使用を中止して眼科を受診してください。
単なる「目の乾き」ではなく、別の目の病気や、涙の出口が詰まっているなどの物理的な問題が隠れている可能性があります。

Q. 医療用には0.3%という濃いタイプもありましたが、市販で買えますか?
A. 残念ながら、市販されているのは0.1%のみです。
0.3%の高濃度製剤は、より重篤なドライアイ治療に用いられるもので、医師の経過観察が必須となるため、市販化(スイッチOTC化)はされていません。0.1%で効果が不十分な場合は、無理せず眼科へ行きましょう。


まとめ:名前は違っても、中身は本物。賢く選んで快適な瞳を

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
ヒアレインSに対する「使えないのでは?」という不安は解消されましたでしょうか。

  • 「ドライアイ」と書かれていないのは、法律のルールのせい。
  • 中身(成分・添加物)は、医療用0.1%と完全に同じ。
  • コンタクトをしたまま使えないのも、医療用と同じ。

あなたがドラッグストアで見つけたその目薬は、忙しくて眼科に行けないあなたの強い味方になってくれる「本物」です。
ネットの噂やパッケージの表記に惑わされず、成分という「事実」を見抜いたあなたは、とても賢い選択をしようとしています。

正しい知識を持って、自信を持ってヒアレインSを活用し、辛い目の乾きから解放された快適な毎日を取り戻してください。

📚 参考文献・出典

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