口内炎の激痛に耐えながら、いつもの薬箱を開けた瞬間。
「あれ? アフタゾロンがない…」
慌てて近所の薬局に駆け込んでも、「その薬はもう販売中止になりました」という無情な一言。あの絶望感、痛いほどわかります。長年愛用していた「効く薬」が手に入らない不安は、単に物がなくなる以上のストレスですよね。
でも、安心してください。アフタゾロンは消えてしまったわけではありません。
実は、名前を変えて今も薬局の棚に並んでいるのです。この記事では、現役薬剤師である私が、販売中止の本当の理由と、病院で「あれと同じ薬」を出してもらうための魔法の言葉、そして市販で買える最強の代役をお教えします。
👤 著者プロフィール
薬剤師・タカシ
地域密着型の調剤薬局薬剤師 / 医薬品情報管理者
薬局での服薬指導歴20年。「あの薬、もうないの?」という患者さんの相談に数千回応えてきた実績を持つ。ジェネリック医薬品への切り替え相談や、一般用医薬品(OTC)の選び方アドバイスを得意とする。「その気持ち、痛いほどわかります」と共感しつつ、プロとして冷静に解決策を提示するスタイルが信頼を集めている。
なぜ消えた?アフタゾロン販売中止の本当の理由
まず、皆さんが一番心配していることからお話ししましょう。
「副作用が強すぎて回収されたんじゃないか?」
「何か危険な成分が入っていたんじゃないか?」
いいえ、決してそうではありません。アフタゾロンの販売中止(2019年3月)は、あくまでメーカー(旭化成ファーマ)の「経営上の判断」によるものです。
製薬会社では、定期的に販売ラインナップの見直しが行われます。より新しい薬に注力するためや、採算性の問題などで、たとえ良い薬であっても製造を終了することがあるのです。
つまり、薬の効果や安全性に問題があったわけでは全くありません。 アフタゾロンは、長年にわたり多くの患者さんを救ってきた、紛れもない「名薬」でした。その実績は、今も変わらず評価されています。
【処方薬】医師にこう頼めばOK!アフタゾロンと「中身が同じ」薬
では、病院に行けばもうあの薬は手に入らないのでしょうか?
答えは「NO」です。名前は違いますが、中身が100%同じ薬(ジェネリック医薬品)が存在します。
その薬の名前は、「デキサメタゾン口腔用軟膏」です。
アフタゾロンの有効成分は「デキサメタゾン」でした。このジェネリック医薬品は、有効成分の量も、効能・効果(難治性口内炎や舌炎への適応)も、アフタゾロンと全く同じです。使い心地もほとんど変わりません。

医師への頼み方:
診察室でこう伝えてください。
「以前使っていたアフタゾロンがよく効いたので、同じ成分の『デキサメタゾン口腔用軟膏』をお願いできますか?」
これだけで、医師にはあなたの希望が正確に伝わります。
【市販薬】ドラッグストアで買える「最強の代役」はこれだ
「病院に行く時間がない! 今すぐドラッグストアで買いたい!」
そんなあなたには、市販薬でのベストな選択肢を提案します。残念ながら、市販薬で「デキサメタゾン」を主成分とした塗り薬はほとんどありません。
しかし、「トリアムシノロンアセトニド」という成分を配合した薬なら、アフタゾロンに匹敵する強力な効果が期待できます。
おすすめの市販薬:
- トラフル軟膏PROクイック(第一三共ヘルスケア)
- オルテクサー口腔用軟膏(アリナミン製薬)※ケナログの後継品
これらは、アフタゾロンと同じ「ステロイド成分」を配合しており、優れた抗炎症作用を持っています。
📊アフタゾロンと主要市販薬の成分・ステロイド有無
| 薬の名前 | 分類 | 有効成分 | ステロイド | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| アフタゾロン | 処方薬 | デキサメタゾン | あり | ★★★★★ (販売中止) |
| デキサメタゾン口腔用軟膏 | 処方薬 | デキサメタゾン | あり | ★★★★★ (後継) |
| トラフル軟膏PROクイック | 市販薬 | トリアムシノロンアセトニド | あり | ★★★★☆ |
| オルテクサー口腔用軟膏 | 市販薬 | トリアムシノロンアセトニド | あり | ★★★★☆ |
| 一般的な口内炎薬 | 市販薬 | アズレン、グリチルレチン酸など | なし | ★★☆☆☆ |
薬剤師が教える「効かない」を避ける薬の選び方
最後に、市販薬選びで失敗しないための重要なポイントをお伝えします。
アフタゾロンを愛用していたあなたは、おそらく「ステロイドの強力な効き目」に慣れています。そのため、ステロイドが入っていない「非ステロイド性」の口内炎薬(アズレン配合など)を使うと、「全然効かない…」と感じてしまう可能性が高いです。
ドラッグストアで薬を選ぶ際は、必ずパッケージの裏面を見てください。
「ステロイド配合」や「副腎皮質ホルモン」という言葉、あるいは成分名に「〜ロン」「〜ゾン」とついているものを選ぶのが、あの「効き目」に近づくための近道です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 迷ったら、薬剤師や登録販売者に「ステロイドが入っている口内炎の薬はどれですか?」と聞いてください。
なぜなら、口内炎の薬は種類が多すぎて、パッケージだけでは成分の強さが分かりにくいからです。特に「しみて痛い」のが嫌な場合は、患部を保護する「軟膏タイプ」か「パッチタイプ」のステロイド配合薬を選ぶと、食事の時の痛みも和らぎますよ。
まとめ:名前は変わっても、あなたの口内炎は治せる
アフタゾロンという名前の薬は、確かに販売中止になりました。しかし、その魂とも言える「成分と効き目」は、ジェネリック医薬品や強力な市販薬の中にしっかりと受け継がれています。
- 販売中止はメーカーの事情。 薬の安全性に問題はない。
- 病院では「デキサメタゾン口腔用軟膏」を指名すれば、同じ薬が手に入る。
- 市販薬なら「ステロイド配合」(トラフル軟膏PROクイックなど)を選ぶ。
もう、痛みを我慢して「あの薬がない」と嘆く必要はありません。
次回の受診時にはこのメモを持っていくか、今すぐドラッグストアで「ステロイド配合」の薬を探してみてください。あなたの口内炎は、必ずまた治せます。
参考文献
- デキサメタゾン口腔用軟膏0.1%「NK」添付文書|PMDA - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
- くすりのしおり|デキサメタゾン口腔用軟膏0.1%「NK」 - くすりの適正使用協議会
免責事項: 本記事は一般的な医薬品情報の提供を目的としており、医師の診断を代用するものではありません。症状が改善しない場合や不安な点は、必ず医師または薬剤師にご相談ください。