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ホイール塗装で「絶対に塗ってはいけない」場所は?元プロが教える安全DIYの鉄則

👤 この記事の著者
ガレージ・タカ(Garage Taka)
元板金塗装職人 / DIYカーライフアドバイザー

【実績】 板金塗装歴15年。現在はYouTubeやブログで「プロの技術をDIYレベルに落とし込む」ノウハウを発信中。
【スタンス】 「プロの道具がなくても、プロの知識があれば失敗しない」と励ます、頼れる先輩メカニック。

「ホイールの色を変えて、愛車をもっとカッコよくしたい!」
そう思ってネットで調べ始めたものの、友人から「適当に塗るとタイヤが外れるぞ」なんて脅されて、怖気づいていませんか?

結論から言います。その友人の忠告は、半分正解で半分間違いです。
確かに、何も知らずに適当に塗れば、最悪の場合タイヤが外れる大事故につながります。しかし、「塗ってはいけない場所」さえ守れば、缶スプレー塗装でも安全に楽しむことは十分に可能です。

この記事では、元板金塗装職人の私が、命を守るための「絶対NGゾーン」と、缶スプレーでもプロ並みに長持ちさせる「下地処理の鉄則」を完全図解します。


命に関わる!ホイール塗装で「絶対に塗ってはいけない」2つの聖域

まず最初に、これだけは絶対に覚えて帰ってください。ホイールには、どんなに色が塗りたくても、絶対に塗料を乗せてはいけない「聖域」が2箇所あります。

1. ナット座面(テーパー部)

ホイールを車体に固定するナットが当たる、すり鉢状の穴の部分です。
ここに塗料が乗ってしまうと、走行中の熱や振動で塗膜が潰れ、その分だけ隙間ができてナットが緩みます。
最悪の場合、走行中にタイヤが外れて飛んでいく大事故になります。

2. ハブ接地面(裏側)

ホイールの裏側にある、車体(ブレーキローターやドラム)とピッタリ密着する平らな面です。
ここも同様に、塗料の厚みで密着度が下がり、ハンドルのブレやナットの緩みを引き起こします。

どうやって防ぐ?

  • ナット座面: 丸めた紙やティッシュを穴に詰め込むか、専用のマスキングシールを貼ります。
  • ハブ接地面: 裏側全体を新聞紙とマスキングテープで覆います。

この2箇所のマスキングさえ完璧なら、安全面でのリスクは99%回避できます。

なぜ剥がれる?塗装の失敗は「塗る前」に9割決まっている

「缶スプレーで塗っても、どうせすぐ剥がれるでしょ?」
そう思っているなら、それは大きな誤解です。剥がれる原因のほとんどは、塗料の質ではなく「下地処理の手抜き」にあります。

鉄則1:足付け(あしつけ)

ツルツルの表面に塗料を塗っても、引っかかりがないためすぐにペリッと剥がれます。
塗装前には必ず、耐水ペーパー(#600〜#800番)で全体を磨き、細かい傷をつけてください。この傷に塗料が食いつくことで(アンカー効果)、強固な塗膜になります。
「せっかくのホイールに傷をつけるなんて…」と躊躇してはいけません。曇りガラスのように白くなるまで磨くのが正解です。

鉄則2:脱脂(だっし)

油分は塗装の大敵です。指紋の脂やワックス成分が少しでも残っていると、塗料を弾いてしまいます。
食器用洗剤で洗っただけでは不十分です。必ず「シリコンオフ」という専用の脱脂剤を使い、キッチンペーパーで拭き上げてください。
職人時代、脱脂が甘くて先輩に怒鳴られた経験は数知れず…。それくらい重要な工程です。

タイヤを外さず塗れる!100均トランプを使った「裏技マスキング術」

「タイヤをホイールから外すなんて、自分じゃできないよ…」
大丈夫です。タイヤを付けたままでも、プロ顔負けの仕上がりにする方法があります。使うのは、なんと100均のトランプです。

トランプマスキングの手順

  1. タイヤの空気を少し抜きます(リムとの隙間を作るため)。
  2. ホイールのリムとタイヤの隙間に、トランプを少し重ねながら一周差し込んでいきます。
  3. これだけで、タイヤを汚さずにリムのキワまで塗装できる「壁」が完成します。

さらに、「ミッチャクロン」というプライマー(接着剤のようなスプレー)を最初に吹けば、缶スプレーの密着力は劇的に向上します。これもプロが愛用する裏技アイテムです。

もし失敗したら?リカバリー方法と車検・売却への影響

最後に、失敗した時のことや法的なリスクについても触れておきましょう。

失敗してもやり直せる

もし液垂れしたり、ゴミが付着したりしても、焦る必要はありません。

  • 乾く前なら: パーツクリーナーを吹きかけたウエスで拭き取れば、元通りになります。
  • 乾いた後なら: 耐水ペーパーで削って平らにし、上から塗り直せばOKです。

車検と売却について

  • 車検: ホイールの色が変わっても、車検には全く問題ありません(灯火類に塗料がかかっていなければOK)。
  • 売却: 純正色でない場合、中古車査定で減額される可能性はあります。しかし、ラバースプレー(剥がせる塗料)を使えば、飽きたら元に戻せるので安心です。

まとめ:DIY塗装は「準備」が全て。安全にカッコよく仕上げよう

ホイール塗装は、塗っている時間よりも、洗ったり削ったりマスキングしたりする「準備の時間」の方が圧倒的に長いです。
しかし、その地味な作業こそが、「安全」と「耐久性」を生み出します。

  • ナット座面と裏側は絶対に塗らない。
  • 足付けと脱脂は親の仇のように念入りに。

この2つさえ守れば、あなたのDIYは必ず成功します。
今週末は、まずはホームセンターでサンドペーパーとシリコンオフを買うところから始めてみませんか? 自分の手で生まれ変わった愛車を見た時の感動は、何物にも代えがたいですよ。

📚 参考文献・リンク集

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