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官公庁オークションで車を買ってみた!素人は「公用車」を狙え!手続きとリスクの全記録

👤 著者プロフィール
公売ハンター・タケシ(元自動車整備士 / 官公庁オークション愛好家)
「安易な参加は火傷する」と厳しく警告しつつ、DIY精神のある人には泥臭い攻略法を伝授する元整備士。官公庁オークションの「公用車」に特化した落札・整備ノウハウを持ち、業者に負けない「隙間産業的」な戦略で数々の掘り出し物を手に入れてきた。

中古車相場が高騰し続ける昨今。「予算50万円でまともな車が欲しい」と思っても、検索サイトに出てくるのは過走行車や修復歴ありの車ばかり……。
そんな時、ふと目にした「官公庁オークション」の文字。「ここなら安く買えるかも?」と淡い期待を抱いていませんか?

はっきり言います。素人が安易に手を出すと、修理費と手間で爆死します。

官公庁オークションは、一般の中古車販売とはルールが全く異なります。試乗不可、保証なし、現状渡し。まさに「自己責任」の世界です。
しかし、「ある条件」を守れば、相場の半値以下で極上の車が手に入るのも事実です。

その条件とは、「近隣の公用車」を狙うこと。そして必要なのは、面倒な手続きを楽しむ「DIY精神」です。
元整備士の私が、業者に負けない立ち回りと、落札後の泥臭い手続きフローを完全公開します。


「激安」の裏側。なぜ官公庁オークションの車は安いのか?(現状渡しの罠)

まず、官公庁オークションの車がなぜ安いのか、その理由を理解しておきましょう。
最大の理由は、「現状渡し(ノークレーム・ノーリターン)」という絶対的なルールにあります。

通常の中古車店なら、納車前に点検整備を行い、万が一すぐに壊れたら保証で修理してくれます。
しかし、官公庁オークションでは、引き渡し直後にエンジンがかからなくなっても、一切の文句は言えません。 返品も返金も不可能です。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「写真で綺麗だから大丈夫」は絶対に禁物です。必ず下見会に参加し、自分の目と鼻で確認してください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、写真には写らない「車内のカビ臭さ」や「エンジンルームの異音」に気づかず落札してしまうからです。私が過去に見た車の中には、外装はピカピカでも、ドアを開けた瞬間に強烈なカビの臭いがして、フロアマットの下が水浸しだった(雨漏りしていた)ケースもありました。リスクを自分でカバーできる人だけが、その対価として安さを享受できるのです。


狙い目は「公用車」一択。差押物件に手を出してはいけない理由

では、初心者はどの車を狙えばいいのでしょうか?
出品車両は大きく分けて「公用車」と「差押物件」の2種類がありますが、狙うべきは「公用車」一択です。

📊公用車 vs 差押物件 比較表

項目公用車(官公庁所有)差押物件(税金滞納者所有)
前の持ち主役所、消防署など税金を滞納した個人・法人
整備状況◎ 定期点検されている× メンテナンス不足の可能性大
記録簿○ 残っていることが多い× ないことが多い
放置期間短め長期放置でバッテリー上がりがち
リスク低い(初心者向け)高い(ギャンブル)

公用車は、税金を使って維持管理されていたため、定期的な点検整備を受けている個体が多いです。走行距離が少なくても、オイル交換などのメンテナンスはしっかり行われている傾向があります。まさに「当たり」の宝庫です。

一方、差押物件は、税金を払えないほど困窮していた持ち主の車です。車のメンテナンスにお金をかけていたとは考えにくく、オイル交換すらされていないボロボロの車である可能性が高いです。これは完全なギャンブルであり、初心者が手を出すべきではありません。


【実録】落札から納車まで。平日休みの覚悟と「仮ナンバー」の魔術

見事落札できたとしても、そこからが本当の戦いです。
特に大変なのが、「車検切れの車をどうやって持って帰るか」という問題です。

多くの出品車両は車検が切れています。当然、そのまま公道を走ることはできません。
ここで必要になるのが、「仮ナンバー(臨時運行許可)」という魔法のアイテムです。

仮ナンバーは、自賠責保険(25ヶ月分で約1.8万円)に加入すれば、役所の窓口で数百円で借りることができます。
ただし、役所の窓口は平日しか開いていません。 車両の引き取りも平日限定の場合がほとんどです。
つまり、平日に有給休暇を取って動ける人でないと、このミッションはクリアできません。


最終収支を公開。車両代+5万円で乗り出せるか?(隠れコストの正体)

最後に、お金の話をしましょう。
「落札価格=乗り出し価格」ではありません。ここに見えないコストが乗っかってきます。

特に注意すべきは「陸送費」です。
もし遠方の車を落札してしまい、業者に陸送を頼むと、それだけで5万〜10万円が飛びます。これでは安く買った意味がありません。
「自分で取りに行ける距離(近隣自治体)」の車を狙うのが鉄則です。

【DIYで乗り出す場合の試算例】

  • 落札価格:100,000円
  • リサイクル預託金:10,000円
  • 自賠責保険(25ヶ月):18,160円
  • 仮ナンバー代:750円
  • 車検法定費用(重量税・印紙代):約30,000円
  • 合計:約159,000円

自分で整備し、自分で車検を通せば(ユーザー車検)、車両代+約6万円で乗り出すことが可能です。
店頭価格30万円の車を半額で手に入れられる計算になります。この「差額」こそが、あなたが汗をかいて手続きをした対価なのです。


手間を「遊び」に変えられる人だけが、このオークションの勝者になれる

官公庁オークションは、単なる「買い物」ではありません。
書類を揃え、役所を回り、仮ナンバーを付けて車を引き取り、自分で整備して車検を通す。
この一連のプロセスを「大人の社会科見学」や「DIYプロジェクト」として楽しめる人にとっては、最高の遊び場になるでしょう。

苦労して手に入れた車には、普通に買った車とは違う愛着が湧くはずです。
さあ、あなたも「公用車」を狙って、宝探しを始めてみませんか?

KSI官公庁オークションで公用車を探す

ユーザー車検の方法を見る(国土交通省)


参考文献

-自動車