「またフンをされた…」と、朝のベランダでため息をつくのは今日で終わりにしましょう。
「業者に頼むと数万円かかるし、まずは安く済ませたい」という佐藤さんの切実な悩み、痛いほどわかります。しかし、結論から申し上げます。100均で売られている「置くだけの鳩よけグッズ」単体では、鳩の執着心には勝てません。
ですが、諦める必要はありません。100均のグッズを「完成品」としてではなく、「物理的に侵入を防ぐための建材」として使えば、業者顔負けの対策が可能です。
この記事では、私がビル管理の現場で培った「物理遮断(ネットで塞ぐ)」というプロの鉄則を、ダイソーやセリアのワイヤーネットと結束バンドだけで再現する「ベランダ要塞化」のDIY術を完全公開します。失敗しない清掃法から法的リスクの回避まで、正しい手順で平穏な日常を取り戻しましょう。
この記事の執筆者
高橋 ケンジ
DIY防鳥インストラクター / 元ビルメンテナンス管理者
ビル管理時代に50件以上のマンション鳩被害を解決した現場のプロ。「業者に頼むと高い」という家計の悩みに寄り添い、低予算(DIY)で確実に効果を出すノウハウを発信中。
「中途半端な対策は逆効果」をモットーに、現在は一般家庭向けの防鳥対策ワークショップも主催している。
なぜ100均の「置くだけグッズ」は失敗するのか?【鳩の執着心を知る】
正直に白状します。私もかつては、CDを吊るしたり、100均のトゲトゲ(スパイク)を並べたりしては、あざ笑うかのように戻ってくる鳩に絶望していました。あなたも同じ経験があるのではないでしょうか?
「最初は効いたのに、3日で戻ってきた」
これは、鳩対策で最もよくある失敗パターンです。なぜなら、鳩の「帰巣本能(巣に戻ろうとする本能)」と「学習能力」は、私たちが想像する以上に強力だからです。
鳩にとって、あなたのベランダは「外敵から身を守れる安全な場所」として認識されています。一度そう認識されると、多少の障害物(スパイクや忌避剤)があっても、鳩は「スパイクとスパイクの隙間」や「薬剤が置かれていない手すりの端」を執拗に探し出し、無理やりにでも着地しようとします。
つまり、「スパイク(剣山)」のような「点」の対策では、鳩の強い「帰巣本能」に負け、いずれ突破されてしまうのです。 これが、手軽なグッズが失敗する根本的な原因です。
💡 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 鳩が一度「ここは自分の家だ」と決めたら、脅しグッズは「ただのインテリア」になります。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、鳩は「安全だ」と分かれば、キラキラ光るCDの横で平気で昼寝をする生き物だからです。脅しではなく、物理的な拒絶が必要です。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
業者の知恵を拝借!「物理遮断」こそが最強の鳩対策
では、プロの業者はどうしているのでしょうか? 彼らは「鳩が嫌がる」ことよりも、「物理的に入れなくする」ことを最優先します。これを「物理遮断」と呼びます。
ここで重要になるのが、Step-3のエンティティマップでも定義した「物理遮断」と「100均グッズ」の関係性です。100均グッズは、それ単体で効果を発揮する魔法の道具ではなく、この「物理遮断」を実現するための「安価な建材」として捉え直す必要があります。
具体的には、「スパイク(点)」ではなく、「ネット(面)」で空間を塞ぐことが唯一の正解です。

ここからは、実際に100均グッズを使ってベランダを「要塞化」する手順を解説します。
このDIYの核となるのは、「ワイヤーネット」と「結束バンド」の強力な関係性です。これらは単なる金網と紐ではありません。ワイヤーネット同士を結束バンドで強固に「補完・結合」させることで、ベランダの形状に合わせた立体的な壁を作ることができるのです。
Step 1: 道具を揃える
まずは以下のリストを参考に、ダイソーやセリアで材料を揃えてください。
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鳩対策DIYに必要な100均グッズリスト
| アイテム名 | 役割・用途 | 選び方のコツ |
|---|---|---|
| ワイヤーネット | 物理遮断の壁となる本体 | ベランダの手すりや隙間を覆える最大サイズを選ぶ(例:62cm×40cmなど)。 |
| 結束バンド | ネット同士や手すりへの固定 | 屋外用(耐候性)と書かれた黒いタイプが劣化しにくくおすすめ。長さは20cm以上。 |
| 突っ張り棒 | ネットを固定する支柱(賃貸用) | ベランダの天井高に合うもの。強度が不安な場合は2本使いで補強。 |
| カビキラー | フンの清掃・消毒・消臭 | キッチン用でOK。次亜塩素酸ナトリウムが含まれていることが重要。 |
| マスク・手袋 | 感染症対策 | 使い捨てできるゴム手袋と、密着性の高いマスク。 |
Step 2: 徹底的な清掃(最重要)
設置の前に、必ずフンの掃除を行ってください。ここで重要なのは、「鳩のフン」と「カビキラー」の対立・消去の関係を理解することです。
鳩のフンには「ここは自分の場所だ」という臭いのマーキングが含まれています。水で流すだけでは不十分です。カビキラー(次亜塩素酸)を使って、この臭い情報を完全に「消去」しなければ、鳩は何度でも戻ってこようとします。
乾燥したフンを吸い込むと、オウム病やクリプトコックス症などの感染症にかかるリスクがあります。清掃時は必ずフンを湿らせて飛散を防ぎ、マスクと手袋を着用してください。
出典: 動物由来感染症 - 厚生労働省
Step 3: ワイヤーネットの設置
いよいよ設置です。以下の手順で「物理的な壁」を作ります。
- 土台を作る:
ベランダの手すりや、鳩が侵入してくる開口部に合わせて、突っ張り棒を縦に設置します(賃貸で壁に穴を開けられない場合)。 - ネットを連結する:
ワイヤーネットを結束バンドで繋ぎ合わせ、必要な大きさの「面」を作ります。 - 固定する:
作ったネットの壁を、突っ張り棒や手すりに結束バンドでガッチリと固定します。

よくある疑問(FAQ):賃貸でも大丈夫?隙間はどうする?
最後に、実行にあたって皆さんが抱く不安にお答えします。
Q1. 賃貸マンションですが、跡を残さずに設置できますか?
A. はい、可能です。
壁に穴を開けず、「突っ張り棒」を支柱にしてワイヤーネットを結束バンドで固定する方法なら、建物に傷をつけません。結束バンドも退去時にハサミで切るだけで撤去できます。
Q2. ネットの隙間から入ってきませんか?
A. 鳩の頭が入らないサイズ(約3?4cm以下)を選んでください。
100均のワイヤーネットは通常3?4cm角のメッシュなので、そのまま使えば問題ありません。ただし、ネットと壁の間に隙間ができるとそこから入られるので、隙間も結束バンドでネット同士を繋いで塞いでください。
Q3. 自分でやるのが危険なレベルはありますか?
A. 巣に「卵」や「ヒナ」がある場合は、直ちに作業を中断してください。
ここで「鳥獣保護法」と「巣・卵」の法的制約が関わってきます。許可なく卵やヒナを撤去することは法律で禁止されています。この段階に至っている場合は、DIYでの対応は法的にリスクが高いため、専門業者へ相談することを強くお勧めします。
まとめ:今すぐベランダをチェックしよう
鳩対策は、鳩との「知恵比べ」です。
中途半端なグッズで対抗しても、彼らの執着心には勝てません。しかし、今回ご紹介した100均素材を使った「物理遮断」なら、プロと同じ原理で鳩を完封できます。
あなたにも必ずできます。この週末、ワイヤーネットと結束バンドで、安心して洗濯物が干せるベランダを取り戻しましょう!
まずは今すぐ、ベランダに出て以下の状況を確認してください。
- フンは落ちていませんか?(掃除と消毒が必要です)
- 巣を作ろうとしている枝やワラはありませんか?(即座に撤去してください)
- 卵はありませんか?(ある場合は業者へ連絡してください)
参考文献・リンク集
情報の正確性と透明性を担保するため、本記事の執筆にあたり参照した公的機関の情報を掲載します。