届いたばかりのSoundcore Liberty 4を耳に着けて、期待に胸を膨らませながら好きな曲を再生した瞬間。「あれ? なんか音がこもってる?」「低音が強すぎてボーカルが埋もれてないか?」と拍子抜けして、焦っていませんか?
安心してほしいのですが、それはあなたの耳が悪いわけでも、製品が不良品なわけでもありません。Soundcoreシリーズ特有の「デフォルト設定の癖」が原因です。
実は、Soundcoreアプリのイコライザー(EQ)を少し調整するだけで、その「こもり」や「刺さり」は嘘のように消えます。オーディオ知識は一切不要です。元エンジニアの私が導き出した「機種別・魔法のレシピ」を、画像通りに真似するだけでOKです。
1.5万円のイヤホンが3万円級のハイエンド機に化ける体験を、今すぐ試してみましょう。
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👤 著者プロフィール
響(ひびき)|ガジェット音響ハッカー
元オーディオ機器開発エンジニア。現在は「メーカーの妥協設定を排し、データと論理でガジェットの真の性能を引き出す」をモットーに活動中。月間50万PVのブログやRedditで、測定データに基づいたイコライザー設定(EQレシピ)を公開している。「オカルト」を嫌い、誰でも再現できる物理的な音質改善を追求する技術屋。
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なぜSoundcoreのデフォルト音質は「残念」に聞こえるのか?
まずは敵を知ることから始めましょう。なぜ、評判の良いイヤホンなのに、箱出しの状態では「残念な音」に聞こえてしまうのでしょうか。その原因は主に2つ。「過剰なドンシャリ」と「ノイズキャンセリング(ANC)の副作用」です。
「ドンシャリ」と「こもり」の正体
多くのポータブルオーディオ製品は、一聴した時の迫力を出すために、低音(Bass)と高音(Treble)を極端に強調した「ドンシャリ」というチューニングが施されています。映画やEDMには向いていますが、J-POPやボーカル曲を聴くと、強すぎる低音が中音域(ボーカル)をマスクしてしまい、まるで膜の向こうで歌っているような「こもり」が発生します。
【重要】Liberty 4 と Liberty 4 NC は「別物」である
ここで最も注意すべき点をお伝えします。Soundcore Liberty 4とSoundcore Liberty 4 NCは、名前こそ似ていますが、その音響特性は水と油ほど異なります。
- Liberty 4 (無印): 高音が非常に強く、「シャリシャリ」して耳に刺さりやすい特性(高音過多)。
- Liberty 4 NC: 低音が支配的で、全体的に音が「こもって」聞こえやすい特性(低音過多)。
ネット上で見かける「おすすめ設定」を適当に真似してはいけない理由がここにあります。もし、Liberty 4 NCを使っているあなたが、Liberty 4用の「高音を上げる設定」を適用したらどうなるでしょうか? ただでさえバランスが崩れているのに、さらに耳を痛める結果になります。
機種ごとの特性を理解し、逆の補正をかけること。これが音質改善の鉄則です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: イコライザー調整は必ず「普段使うノイズキャンセリング(ANC)モード」にした状態で行ってください。
なぜなら、ANCをオンにすると、物理的に中低音が強調されやすくなるからです。多くの人が静かな部屋でANCオフのまま調整し、電車に乗ってANCをオンにした途端「あれ、音が変だぞ」と失敗します。通勤中に使うなら、最初からANCオンで調整するのが正解です。
【機種別】画像通りにするだけ!プロ監修「魔法のイコライザーレシピ」
お待たせしました。ここからは実際にSoundcoreアプリを開いて、設定を行っていきましょう。あなたの持っている機種に合わせて、以下の「魔法のレシピ」を適用してください。
① Liberty 4 NC 向け:「こもり完全解消」レシピ
Liberty 4 NCの最大の課題は、ANCの副作用と過剰な低音による「こもり」です。これを解消するには、中低音を大胆に削り、埋もれていた高音を引き上げる「足し算と引き算の組み合わせ」が必要です。
【設定のコンセプト】
- 低音カット: こもりの主犯格である100Hz〜200Hz付近を抑える。
- 高音ブースト: 輪郭をハッキリさせるために高音域を持ち上げる。
【魔法のレシピ(設定値目安)】
- 100Hz: -1 dB
- 200Hz: -2 dB
- 400Hz: +1 dB
- 800Hz: +1 dB
- 1.6kHz: +2 dB
- 3.2kHz: +3 dB
- 6.4kHz: +3 dB
- 12.8kHz: +2 dB
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名: Liberty 4 NC用イコライザー設定画面の再現
目的: 読者がアプリ画面を見て、スライダーの位置を直感的に真似できるようにする。
構成要素:
- タイトル: Liberty 4 NC 「こもり解消」設定
- グラフ: 8バンドのイコライザー画面。左側(低音)が少し下がっており、右側(高音)に向かってなだらかに上がっていく「右肩上がり」の波形を描画。
- 強調: 200Hzの「-2dB」と3.2kHz〜6.4kHzの「+3dB」をハイライトし、「こもりカット」「ボーカル明瞭化」と注釈を入れる。
デザインの方向性: SoundcoreアプリのUI(黒背景に白と青のスライダー)を模したフラットデザイン。
参考altテキスト: Soundcore Liberty 4 NCのイコライザー設定画面。低音を下げ高音を上げた波形。
② Liberty 4 (無印) 向け:「刺さり防止」マイルドレシピ
一方、無印のLiberty 4は、高音が強すぎて「サ行」やシンバルの音が耳に刺さる傾向があります。こちらは余計な音を削ぎ落とす「引き算」のアプローチが有効です。
【設定のコンセプト】
- 高音カット: 耳に痛い6kHz〜12kHz付近を大幅に下げる。
- 中音維持: ボーカルの帯域は触らず、相対的に聴きやすくする。
【魔法のレシピ(設定値目安)】
- 100Hz: 0 dB
- 200Hz: 0 dB
- 400Hz: 0 dB
- 800Hz: 0 dB
- 1.6kHz: -2 dB
- 3.2kHz: -2 dB
- 6.4kHz: -4 dB
- 12.8kHz: -4 dB
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名: Liberty 4用イコライザー設定画面の再現
目的: 読者がアプリ画面を見て、スライダーの位置を直感的に真似できるようにする。
構成要素:
- タイトル: Liberty 4 「刺さり防止」設定
- グラフ: 8バンドのイコライザー画面。左側(低音)はフラットで、右側(高音)に向かって階段状に下がっていく「右肩下がり」の波形を描画。
- 強調: 6.4kHzと12.8kHzの「-4dB」をハイライトし、「刺さりカット」と注釈を入れる。
デザインの方向性: SoundcoreアプリのUIを模したフラットデザイン。
参考altテキスト: Soundcore Liberty 4のイコライザー設定画面。高音域を大きく下げた波形。
1秒で完了!「Acoustic」プリセットとHearIDの賢い使い分け
「細かい数値をいじるのは面倒くさい」「もっと簡単に良くならないの?」という方もいるでしょう。また、Soundcore独自の機能である「HearID」が気になっている方も多いはずです。
ここでは、手動設定(カスタムEQ)以外の選択肢について、その賢い使い分けを解説します。
時間がないなら「Acoustic」一択
もしあなたが、1秒でそれなりの合格点を出したいなら、プリセットの中から「Acoustic(アコースティック)」を選んでください。
このプリセットは、Soundcoreのドンシャリ傾向を緩和し、ボーカルを前に出すチューニングがされています。私が紹介したカスタム設定ほどの最適化はされませんが、デフォルト状態よりは遥かにマシな音になります。
HearIDは「音作り」のツールではない
よくある誤解ですが、HearIDとカスタムEQは、対立する機能ではなく補完し合う関係にあります。
HearIDはあくまで「聴力検査」です。あなたの耳が聞き取りにくい周波数を補正して、フラットな状態(基礎体力)を作る機能であり、好みの音色(味付け)を作る機能ではありません。
最強の運用は、「HearIDで耳の個体差を補正し、その上からカスタムEQで好みの味付けをする」ことです。
📊 比較表
表タイトル: あなたに最適な設定方法は? Soundcore機能比較
| 設定方法 | おすすめ度 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| カスタムEQ (今回のレシピ) | ★★★★★ | 機種の欠点を物理的に解消し、最高の音質を引き出せる。 | 設定に1〜2分かかる。 | 音質にこだわりたい人 失敗したくない人 |
| Acoustic (プリセット) | ★★★★☆ | 選択するだけで完了。ボーカルが聴きやすくなる。 | 機種ごとの最適化はされていない(80点の出来)。 | 面倒くさがりの人 とりあえず改善したい人 |
| HearID (自動調整) | ★★★☆☆ | 自分の聴力に合わせた補正ができる。 | 好みの音になるとは限らない。測定に時間がかかる。 | 耳の聞こえに不安がある人 徹底的に追い込みたい人 |
よくある質問:ジャンル別の微調整や片耳の違和感について
最後に、私がよく受ける質問にQ&A形式でお答えします。
Q. ロックやEDMを聴くときは、この設定だと迫力が足りませんか?
A. その場合は、ベースとなる上記の設定から、低音(100Hz)だけを「+1〜+2dB」上げてみてください。
こもり(200Hz付近)は抑えたまま、キックの迫力だけを足すことができます。全部の低音を上げるとまた音がこもってしまうので、「100Hzだけ」というのがコツです。
Q. ANCをオフにして静かな場所で聴くときは、設定を変えるべきですか?
A. はい、できれば変えたほうが良いです。
ANCをオフにすると、低音の圧力が減ってスッキリした音になります。その場合、Liberty 4 NC向けのレシピだと低音が少なすぎると感じるかもしれません。ANCオフ時は、低音(100Hz〜200Hz)を少し戻して(0dB付近にして)あげるとバランスが取れます。Soundcoreアプリは複数のカスタム設定を保存できるので、「通勤用(ANCオン)」と「自宅用(ANCオフ)」を作っておくと便利ですよ。
まとめ:1.5万円のイヤホンを3万円の音質で使い倒そう
今回ご紹介した設定を適用して、もう一度お気に入りの曲を聴いてみてください。
今まで膜の向こう側にいたボーカルが、目の前に一歩踏み出してきて、息遣いまで聞こえるようになっていませんか? 耳に刺さっていたシンバルの音が、心地よい余韻に変わっていませんか?
それが、Soundcore Liberty 4 / NCが本来持っていたポテンシャルです。「音が悪いから買い替えなきゃダメか…」と諦める必要はありません。あなたは設定ひとつで、1.5万円のイヤホンを3万円級の音質に変えることに成功したのです。
浮いたお金で、新しいアルバムを買うもよし、ライブに行くもよし。最高の相棒となったイヤホンで、音楽ライフを思う存分楽しんでください。
もし、この設定で「音が化けた!」と感動したら、ぜひSNSでシェアして、同じように「こもり」や「刺さり」で悩んでいるSoundcoreユーザーを救ってあげてくださいね。