この記事の著者:大崎 徹 / 労働トラブル解決コンサルタント
元・ブラック企業人事。かつては「辞めさせない工作」を行っていたが、現在はその手口を知り尽くした立場から、労働者を守るための「強行突破」を指南。年間500件以上の退職相談を解決に導いている。
勇気を出して「辞めます」と言ったのに、「今辞めたら店が回らない」「損害賠償請求するぞ」と怒鳴られ、退職届を突き返された…。
怖くて足がすくんでしまいますよね。
「自分は無責任なんだろうか」
「会社に迷惑をかけてしまう」
そんな罪悪感を持つ必要は、1ミリもありません。
安心してください。その脅しはすべて「嘘」です。
あなたは法律に守られています。
この記事では、元ブラック企業人事が、会社側の汚い手口を暴露し、合法的に即日撤退する方法を伝授します。
「人手不足で辞めさせない」は違法!民法627条という最強の盾
まず、大前提として知っておいてほしい法律があります。
それは「民法第627条」です。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
出典: 民法第627条第1項 - e-Gov法令検索
正社員(期間の定めのない雇用)であれば、退職の意思表示をしてから2週間経てば、会社の承諾があろうとなかろうと、自動的に退職は成立します。
「就業規則には1ヶ月前に申し出ると書いてある!」と上司は言うかもしれません。しかし、法律(民法)は会社のルール(就業規則)よりも優先されます。あなたが2週間後に辞める権利は、誰にも止められないのです。
「損害賠償請求するぞ」は99%ハッタリ。その理由を論破する
次に、一番怖い「損害賠償」について。
結論から言うと、退職による人手不足で損害賠償が認められることは、まずありません。
経営者の責任転嫁
「お前が辞めたせいで店が開けなかった、その損害を払え」という主張は通りません。なぜなら、欠員が出ても業務が回るように人員配置をするのは経営者の責任だからです。それを労働者個人に押し付けることはできません。
裁判費用の壁
仮に会社があなたを訴えようとしても、弁護士費用や裁判費用で数十万円〜数百万円かかります。一社員の退職による損害(と主張するもの)を回収するために、それ以上のコストをかける会社はありません。
つまり、「損害賠償」という言葉は、あなたを怖がらせて繋ぎ止めるための単なるハッタリに過ぎないのです。
【テンプレート付】上司と会わずに辞める「内容証明郵便」の書き方
では、具体的にどうすればいいのでしょうか?
退職届を受け取ってもらえない、あるいはもう上司と顔も合わせたくない場合は、「内容証明郵便」を使います。
これは、「いつ、誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。これを送れば、会社側は「聞いていない」「受け取っていない」という言い逃れができなくなります。
🎨 デザイナー向け指示書:内容証明郵便の文面サンプル
件名: 退職届(内容証明用)
本文:
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 殿
退職届
私儀、このたび一身上の都合により、202X年〇月〇日をもって退職いたします。
つきましては、本日以降、退職日までの期間は有給休暇の消化に充てさせていただきます。
なお、退職後の書類(離職票等)は、下記住所へご郵送くださいますようお願い申し上げます。
202X年〇月〇日
住所:〇〇県〇〇市…
氏名:佐藤 健一 印
ポイント:
- 退職日は「発送日から2週間後」の日付にする。
- 「有給消化」を明記することで、実質的に明日から出社しない意思を示す。
これを郵便局から送った瞬間、法的に退職のカウントダウンが始まります。
明日からは有給消化(有給がない場合は欠勤扱い)に入れば、もう二度と会社に行く必要はありません。
どうしても怖いなら「退職代行」を使え。3万円で買える自由
「理屈はわかったけど、やっぱり怖い」
「家に来られたらどうしよう」
そこまで精神的に追い詰められているなら、「退職代行サービス」を使うのも賢い選択です。
3万円程度で、会社への連絡から交渉まで全て代行してくれます。
選び方のポイント
ただし、業者選びには注意が必要です。
- 労働組合運営 または 弁護士監修 のサービスを選ぶこと。
(一般企業が運営する代行は、会社との「交渉」ができないため、失敗するリスクがあります)
「逃げる」のではありません。「自分の命を守るためのコスト」だと割り切りましょう。プロに丸投げして、ゆっくり休む権利があなたにはあります。
まとめ:退職届を出した瞬間、あなたは自由だ
会社のために、あなたが犠牲になる必要は1ミリもありません。
人手不足は会社の責任。あなたの人生はあなたのものです。
法律は、弱い立場にある労働者を守るためにあります。
その武器を使って、堂々と自由を勝ち取りましょう。
今すぐ退職届を書くか、代行サービスに連絡を。
その一歩が、あなたを地獄から救い出します。